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「中国版IMF」の発足間近に...米国中心の金融秩序に亀裂

登録:2015-06-29 22:16 修正:2015-06-30 11:44
習近平中国国家主席(右端)が29日午前、北京人民大会堂でチェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部長官(左)をはじめとする各国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の交渉代表と会って会話している。中国はこの日、50カ国以上の代表が参加した中でAIIB協定文の署名式を開催した=北京/聯合ニュース

 

 アジアインフラ投資銀行(AIIB)創立協定文への署名は、国際金融秩序再編の序曲だ。第2次世界大戦以降半世紀もの間、鉄壁のようだった米国を中心とした金融秩序が揺らぎ始めた。世界金融秩序が急激に変化する隙間で、名分と実利を同時に追求しなければならない韓国の挑戦も始まった。

AIIBの主要加盟国の持分率と投票権 //ハンギョレ新聞社

中国主導AIIB設立、背景と意味

 アジアインフラ投資銀行は、“中国による”“中国のため”の国際金融機関だ。 2013年10月、習近平中国国家主席が東南アジア歴訪中、ウドヨノ当時インドネシア大統領との会談で、この銀行の設立を初めて提案した。昨年末、インドネシア、イラン、パキスタン、インドなど、中国隣国間の了解覚書(MOU)が締結され、その後、韓国はもちろん、イギリス、ドイツ、フランスまで参加した。中国は投票権26.06%(持分率30.34%)を持って拒否権を確保した。中国がこの銀行を作っただけではなく、中国の意向に反した場合、協定文の修正や銀行規模の拡大、理事会の規模や構成の変更もできない。

 アジアインフラ投資銀行の設立は、米国を中心とする国際金融秩序に対する中国の不満が蓄積された結果だ。国際通貨基金(IMF)クォータ改革が失敗したのが、中国を刺激した決定的なきっかけだった。中国はこれまで、国際通話基金内部で経済的地位に相応しい影響力の確保を要求してきたが、米国の反対を乗り越えられなかった。ある北京駐在の外交官は28日、ロイターに「中国は一貫して国際金融機関の改革を要求してきたが、米国のよって挫折させられた。アジアインフラ開発銀行の設立は当然の帰結」だと述べた。

 中国の国内的要因も、アジアインフラ投資銀行を設立した背景の別の軸を成している。この銀行は、中国の将来に向けての国家戦略とされる「一帶一路」(陸と海上のシルクロードを結ぶ中国中心の経済ベルト)の構成要素だ。これまで30年間、成長の中心軸だった東部圏の海に面した都市への投資が飽和状態に達したことを受け、中国政府は西部地域の開発に力を入れている。チ・マンス韓国金融研究院研究委員は「一帯一路は、中国のこれから30年間を支える経済基盤を用意しようとする巨大戦略であり、アジアインフラ投資銀行はこの構想を実現する中核要素」だと分析した。

■韓国にとって機会であると同時に挑戦

AIIBの概要と主要推進経過 //ハンギョレ新聞社

 アジアインフラ投資銀行設立は、韓国にとっては名分と実利を同時に追求しなければならない新しい幕が上がったことを意味する。チェ・ギョンファン副首相兼企画財政部長官は、協定文の署名式前夜の28日、中国現地で記者会見を開き、「アジア地域のインフラ建設の機会が拡大されると、韓国企業にとっては良い機会になるだろう」と述べた。

 アジアインフラ投資銀行が投資を集中するアジア地域の投資需要は、年間7000億ドルを超えると推定される。経済協力開発機構(OECD)は2030年までに合計8兆3000億ドル、アジア開発銀行(ADB)は、2020年までに年間7300億ドルと、アジア地域におけるインフラ投資の需要を推定した。

 カギとなるのはアジアインフラ投資銀行内における韓国の影響力の拡大だ。具体的には、理事国に名を連ね、副総裁のポストも確保する必要があると政府は見ている。韓国が確保した議決権は3.5%だ。自力で理事国になるために必要な議決権(4.5%)の確保に失敗した。4.5%以上の議決権を確保した加盟国は、中国(26.06%)とインド(7.51%)、ロシア(5.93%)の3カ国だけだ。

 理事は12人で、域内国家に割り当てられた理事数は9人だ。中国やインド、ロシアを除くと、6つの席をめぐり残りの域内加盟国33カ国と韓国が競争しなければならない。チェ・フィナム企画財政部国際経済管理官は、「理事国になるためには、韓国と利害が一致する域内の他の国と歩調を合わせなければならない。副総裁の選任と関連し、中国と多くの対話を進めている」とだけ言及した。国際通貨基金と世界銀行では、韓国はオーストラリアと連合して2年ずつ交互に理事を務めている。

世宗/キム・ギョンラク記者、北京/ソン・ヨンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-06-29 19:59

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/698030.html  訳H.J

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