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米国「AIIBとの協力推進」に軌道修正

登録:2015-03-23 22:06 修正:2015-03-24 05:32

 協調融資方式の協力方案に言及
 友好国で相次ぐ加盟宣言に方向転換
 中国「既存機関との連携可能性はある」
 「創立加盟国35カ国を超える」見込み

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の概要 //ハンギョレ新聞社

  米国政府が友好国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)加入を阻止する戦略から離れ、同銀行との積極的な協力方案を模索する方向に軌道修正している。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は23日、「オバマ政権が中国主導のアジアインフラ投資銀行が、世界銀行のような米国主導の国際金融機関と協力する方案を提案している」と報じた。同紙は、ネイサン・シーツ米財務省国際担当次官が「米国は国際金融機関を強化する新たな多国間機関を歓迎する」とし、具体的な協力案として協調融資(Co-financing)方式に言及した。

 協調融資とは、同じプロジェクトに複数の金融機関が資金を分担して融資する方式をいう。世界銀行などの国際金融機関が協調融資方式で資金を供給しながら、アジアインフラ投資銀行に進出した欧州諸国と連合勢力を形成する場合、中国の牽制にかなりの効果があると思われる。シーツ次官は「このような協調融資方式は、銀行に高レベルの運用基準を維持させるのに役立つだろう」と述べた。

 実際、世界銀行と国際通貨基金(IMF)など、米国が主導する国際金融機関は、22日、アジアインフラ投資銀行との協力を歓迎するという立場を明らかにした。キム・ヨン世界銀行(WB)総裁はこの日、報道官室を通じてウォール・ストリート・ジャーナルに 「(アジアインフラ投資銀行と)どのような方法で緊密に協力できるか」について「深く議論」していると述べた。クリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事もこの日北京で開かれた会議で、アジアインフラ投資銀行と協力することを「非常に喜ぶだろう」と述べたと中国メディアが伝えた。中尾武彦アジア開発銀行(ADB)総裁もこの会議で、中国との可能な協力方案を議論していると明らかにした。彼らのこのような立場表明は、米国政府との調整を経たものと思われる。

 米国政府のこのような方向転換は、最近、英国を筆頭に、ドイツ、フランスなどの主要な友好国が大挙アジアインフラ銀行への加盟を宣言し、従来の加盟阻止戦略が事実上失敗したことから、苦肉の策として用意されたものと見られる。

 また、状況をこのまま放置した場合、中国がこの銀行の支配権を利用して周辺国と西側諸国への影響力を拡大する可能性が大きくなるだけに、これを最大限に制限しようとする試みと解釈される。事業面でも、米国が同銀行から完全に手を引く場合、米国企業のプロジェクトへの参加が困難になるという点も考慮したものと見られる。

 米国と国際金融機関のこのような提案に、中国がどのような態度を取るかも注目される。 ウォール・ストリート・ジャーナルは「アジアインフラ投資銀行が既存の機関と協力するかについて、いかなる決定も下されていない」と伝えた。しかし、同紙はワシントン駐在の中国大使館が「中国は既存の国際金融機関と協力する可能性を残しており、新しい銀行は、公開性と包容の精神に基づいて設立され、高い運用基準を守るだろう」と明らかにしたと伝えた。

 樓繼偉(ロウ・ジウェイ)中国財政部長は22日、北京で開かれた会議で、アジア開発銀行と可能な協力方案を議論しているとし、議題にはセーフガード基準が含まれていると述べたと、ロイターが伝えた。セーフガードとは、環境や社会などの分野で国際的に通用する価値と規範に反する投資をしないように防止する安全装置を意味する。樓部長の発言だけをみれば、アジア開発銀行とは、具体的な協力案を議論する段階まで進展したものと思われる。

 中国国営新華通信は、アジアインフラ投資銀行の臨時事務局の金立群事務局長が中国発展高位フォーラムに参加し、創立加盟国が35カ国を超える見込みだと述べたと報じた。韓国は、今週中に加盟すると伝えられている。

ワシントン・北京/パク・ヒョン、ソン・ヨンチョル特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.23 20:26

https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/683586.html  訳H.J

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