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梁承泰最高裁長官の“手なづけ人事”…所信発言の二判事に不利益

登録:2015-02-26 00:27 修正:2015-02-26 07:59
全国公務員労組などで構成された「民主的司法改革実現のための連席会議」が25日午前、ソウル最高裁前で「最高裁判長は問題のパク・サンオク候補者を任命提案し国民的な司法不信を招いた責任をとり謝罪せよ」と促している。イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

「ウォン・セフン元国家情報院長の
 選挙法違反容疑1審無罪」を批判したキム・ドンジン
 「最高裁判事の保守人士推薦」を批判したソン・スンヨン
 「地方→首都圏」の慣例破り「地方→地方」異動
 2000年以降、前例なし…警告メッセージ
 上告裁判所制度を推進…人事統治強化の憂慮

 昨年、元世勲(ウォン・セフン)元国家情報院長の選挙法違反容疑に無罪を言い渡した1審判決を批判して停職2カ月の懲戒を受けたキム・ドンジン部長判事(46・司法研修院25期)が、裁判所の定期人事で不利益を受けたことが明らかになった。 最高裁長官の新しい最高裁判事任命推薦が実質的な最高裁判事の多様化とはほど遠いという書き込みを掲載したソン・スンヨン判事(41・29期)も、希望地とはかけ離れた所に異動発令された。 “梁承泰(ヤン・スンテ)最高裁”が、人事権を利用して判事を手なづけようとしているという指摘が出ている。

 水原(スウォン)地裁城南(ソンナム)支所のキム・ドンジン部長判事は、最近発表された23日付定期人事で、仁川(インチョン)地裁に発令さた。キム部長判事は2011年に春川(チュンチョン)地裁で勤務し、2012年から3年間は水原地裁城南支所で勤務した。2年ずつ「地方-首都圏-ソウル」を循環勤務する人事循環システムにより、今度はソウルの東部・西部・南部・北部地裁のうち1カ所に発令されるのが原則に合う。

 裁判所内外では、懲戒をしておいて人事で再度不利益を与えたことには問題があるという指摘が出ている。 ソウル地域のある判事は「(仁川なら)ひどい島流しではないが、最高裁がまだそのことを忘れてはいないことを示す人事だ」と評した。

 先月、シン・ヨンチョル最高裁判事の後任として保守性向の判事・検事出身者3人が推薦されたことを批判する書き込みを裁判所内部ネットワークに掲載したソン・スンヨン判事も、希望していない所に発令されたという。 判事たちは地方発令の際に、通常最大第10順位まで勤務希望地を書いて出す。 慣例によれば、2年前の人事でソウルに移らず首都圏(水原地裁)で4年連続勤務したソン判事には、今回の人事で若干の配慮がなされるべきだったが、実際はそうならなかった。 彼は昌原(チャンウォン)地裁の統営(トンヨン)支所に移ることになった。 裁判所の事情に明るいある弁護士は「裁判所内では『(人事不利益が)怖くて書き込みも自由にできない』という話が出ている」と伝えた。 しかし最高裁関係者は「統営支所は裁判所内でもエリート判事たちを発令する地域だ。 決してソン判事に不利益を与えたのではない」と言う。

 最高裁は独裁政権時代、“所信ある判決”を下したり正言を吐くような判事たちを人事で手なづけてきた。 1980年代、デモ学生たちを無罪放免した朴時煥(パク・シファン)判事が仁川地裁から春川地裁の寧越(ヨンウォル)支所に異動発令されたのが代表的な例だ。 2000年代以降はこうしたケースが殆どなかったが、保守的な梁承泰最高裁長官体制になってから、政権の“意向”に逆らう判事を人事を通して管理するやり方が再現されたと見られる。

 最高裁が人事を通して判事たちに“メッセージ”を送る理由は、個別判事たちの業務(裁判)に介入する方法が他にはないからだという分析もある。最高裁長官の任期(6年)は大統領(5年)より長い。 このため一層、最高裁長官ににらまれるような言動は慎み、気をつけなければならないという話も出ている。

 梁長官が総力を上げて推進中の上告裁判所制度が、最高裁長官の“人事統治”をさらに強化するだろうという憂慮もある。 最高裁判事を輩出する核心人材プールの構成を最高裁長官の意のままにできるからだ。 ある部長判事は「上告裁判所の持つ一番の問題点は、最高審の判事をただ一人が意のままに選ぶということだ。 最高裁長官にそのような権限を与えている国が世界のどこにあるか。 そんな人事権を握る人が自らそのような制度を推進するのも前例がない」と指摘した。

イ・ギョンミ、キム・ソンシク記者、写真シン・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/678763.html 韓国語原文入力:2015/02/16 22:38
訳A.K(1965字)

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