本文に移動

チョ前副社長実刑判決「人間の自尊心を踏みにじった」

登録:2015-02-12 20:33 修正:2015-02-13 07:41
チョ・ヒョナ前大韓航空副社長 //ハンギョレ新聞社

 “ナッツリターン”事態で物議をかもしたチョ・ヒョナ前副社長に懲役1年の実刑が宣告された。

 ソウル西部地方裁判所第12刑事部(オ・ソンウ部長判事)は12日、航空保安法違反などの容疑で拘束起訴されたチョ前副社長に対して「被告人が本当に反省しているか疑問」とし懲役1年を宣告した。

 裁判所は共に起訴されたヨ・ウンジン大韓航空客室乗務本部常務(58)に対しても懲役8カ月を宣告した。 キム国土交通部調査官(55)には執行猶予が宣告された。

 チョ前副社長は昨年12月5日、大韓航空(KE086)ファーストクラス席で乗務員のナッツ類サービスの方法を問題にして、パク・チャンジン事務長らに暴言や暴行を働きランプリターン(航空機を搭乗ゲートに戻すこと)を指示し、パク事務長を強制的に降ろした容疑で先月起訴された。

 裁判所は今回の判決で最大争点だった航空保安法上の航空機航路変更罪を認めた。韓国で航路変更罪が適用されたのは今回が初めてだ。

 裁判所は「航空保安法第42条の航路変更は空路のみならず離陸する前の地上まで含むと解釈するのが適当だ」として「出発のためにプッシュバック(飛行機に特殊車両を連結し動力によって後ろに押し搭乗ゲート側に移動させること)を始め、停止してパク・チャンジン事務長を降ろした後に出発したことは進行方向から抜け出しており航路変更に該当する」と判断した。

 裁判所はまた「航空機のシートベルト サインが点灯していた点や案内放送を通じて航空機の出発準備が終えられていることを知っていながら、航空機を停めろと指示した点、車でもないのに飛行機が出発した状態で、突然に機体を戻せと言うので驚いたという乗客の陳述が出てきた点などを考慮すれば、航路変更に故意がなかったというチョ前副社長の主張は受け入れ難い」と明らかにした。

“ナッツリターン”事件で拘束起訴されたチョ・ヒョナ大韓航空前副社長に対する1審宣告公判が開かれた12日午後、ソウル西部地裁拘置所に護送バスが入っている。 //ハンギョレ新聞社

 裁判所はさらに「客室乗務員が乗客の安全のために離陸する際に座席の背もたれの状態などを点検する措置とトイレ内の乗客有無点検などの安全業務を遂行しなければならず、事務長は安全点検の間に案内映像を上映し点検結果を再確認しなければならないが、チョ前副社長が騒乱を起こしパク・チャンジン事務長が案内映像の上映を中止した」として「パク事務長が飛行機から降りるなどの理由で出発が24分遅れ、プッシュバック中に他の航空機を妨害し衝突の可能性もあった」と明らかにした。

 裁判所は合わせて「チョ前副社長にパク事務長らの業務排除権限があっても、それは搭乗前に適切な手続きに則り行使されなければならなかった」として「チョ前副社長は乗客だっただけで、飛行のための客室乗務員の指揮・監督権を超越して、副社長として権限行使ができると見ることはできない」と指摘して、航空機安全運航阻害暴行容疑と業務妨害容疑も認めた。

 裁判所は特に“ナッツリターン”事件に対して「人間の尊厳と価値を、自尊心を踏みにじった事件」とし「ひとりのために組織がひとりを犠牲にさせようとした事件であり、人間に対する最小限の思いやりがあったなら、従業員を奴隷のように思っていなかったら、他人に対する公共意識があったなら決して起きえない事件」と話した。

イ・ジェフン、オ・スンフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/678147.html 韓国語原文入力:2015/02/12 18:15
訳J.S(1665字)

関連記事