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元国家情報院長の大統領選介入有罪判決で沈黙を守る朴槿恵大統領

登録:2015-02-11 00:45 修正:2015-02-11 11:53
ウォン・セフン元国家情報院長(中央)。//ハンギョレ新聞社

就任後「要求したこともないので責任はない」
国家情報院による国家綱紀の紊乱判決後は「……」
政府の首班として無責任な態度
波紋広がらないと判断した模様

 「たまには報道官にも何も言わない自由と権利を与えてほしい。省略記号になれるように…」

 ウォン・セフン元国家情報院長が控訴審裁判で公職選挙法違反の有罪判決を受け法廷拘束された翌日の10日、ミン・キョンウク大統領府報道官がブリーフィング途中、判決内容に対する評価を求める質問を受けて答えた内容だ。この事件について言及できない報道官個人の苦しい立場を表わしたものであるが、今回の判決の結果自体を言及したがらない、大統領府の雰囲気を反映したものでもある。

国家情報院による大統領選への介入と関連した朴槿恵大統領(大統領府)の主要発言。//ハンギョレ新聞社

 しかし、これまで「徹底した捜査と厳正な裁判」を強調してきた朴槿恵(パク・クネ)大統領と大統領府が、国家情報院の選挙介入が法的に認められた状況で、これについて沈黙するのは憲政を担う政府の首班として無責任な態度という批判を免れない。朴大統領が大統領選挙当時、国家情報院のコメント事件と関連し掲げた主張を見ても、今になって今回の判決に沈黙することは、態度を180度変えたものだと指摘されている。

 朴大統領は、2012年の大統領選当時、国家情報院職員によるコメント活動の疑いが大統領選挙終盤最大の課題として浮上すると、選挙を5日前に緊急記者会見を開き、「国家情報院によるコメント活動の疑惑が、選挙に及ぼす影響を狙った虚偽の事実であれば、文在寅(ムン・ジェイン)候補が責任を負わなければならない」と明らかにした。そればかりか「国家の安危を担う情報機関さえも、選挙での勝利のため意図的に政争の道具にしようとしたなら、これは座視できない国家綱紀の紊乱行為」だとし、セヌリ党を通じて当時の民主党議員など11人を虚偽事実の流布などで検察に告発した。しかし、文在寅候補が行ったと主張していた「国家綱紀の紊乱」行為を、国家情報機関が行ったことが法廷で確認されただけに、いかなる形でも朴大統領の立場表明が必要な状況になったのだ。

 朴大統領は就任後「(大統領選挙への介入を)要求したことがないので責任がない」とし、大統領選挙介入事件そのものを回避してきた。就任初年度に国家情報院の大統領選挙介入事件の余波が続くと、朴大統領は「私は大統領選挙で国家情報院からのいかなる支援も受けておらず、選挙に活用したこともない」(8月26日首席秘書官会議)とし、線を引いた。同年10月の終わりには、「個人的に疑惑を招くようなことをしていない」としながらも、「裁判と捜査中のくつかの疑惑について法と原則に則って確実に究明されるだろう」とし、やや前向きな姿を見せた。しかし、それだけだった。大統領府の関係者は、ウォン元院長の控訴審判決直後、「朴大統領がすでにその事件について徹底した調査と厳正な裁判が必要だという立場を明らかにした。大統領府にこれ以上どのような反応を示せるのか」と話した。厳正な裁判結果が出たから、それでいいのではないかということだ。

 大統領府のこのような態度の背景には、今回の裁判の結果以降、現実的に政治的な波紋が広がり続けることはないとの判断があるようだ。ただし、大統領府の内部では、最近起きている政策混乱と人事問題への批判など相まって、国政支持率に悪い影響を与えることを懸念する声もある。

ソク・チヌァン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.02.10 20:39

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/677834.html  訳H.J

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