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[インタビュー]8つの原発閉鎖後もドイツの電力受給に問題なし

登録:2015-02-09 21:37 修正:2015-02-10 09:46
ハリー・レマンドイツ環境庁局長。グリーンピース提供。 //ハンギョレ新聞社

 「欧州では誰も核発電が他のエネルギーより安いとは言いません」

 3日、ソウル麻浦(マポ)のグリーンピース ソウル事務所でハンギョレ記者と会ったドイツ環境庁のハリー・レマン環境計画及び持続可能戦略局長(写真)は、経済性が高いとして原発を建設し続けている韓国の状況がもどかしいという表情でこう言った。 レマン局長は2004年からドイツの脱原発に向けたエネルギー転換を率いてきた再生可能エネルギー専門家で、2011年からは世界再生可能エネルギー協議会(WCRE)の会長も務めている。 彼は4日に国会で開かれる「ドイツのエネルギー革命に対する誤解と真実」というテーマの討論会に参加するため1日に訪韓した。

 レマン局長は「核発電は誰も解決できずにいる廃棄物処理問題を別にしても、太陽光・風力など再生可能エネルギーより高くつきます。 電力価格が自由化されている欧州では、政府が発電業者に一定の収益を保障しなければ原発の建設は不可能です」と話した。

 ドイツが2011年の日本の福島核事故をきっかけに17ある核発電所のうち8つを閉鎖した後、電力不足で近隣諸国から電力輸入が増えたとか、電気料金が大幅に上昇したとかいう確認もされていない話が大量に出回った。 しかしレマン局長が具体的な根拠資料をもとに話した実状は、それとは正反対だ。 「2020年までに全ての原発を段階的に閉鎖する日程で進めているが、電力の需給には何の問題もありません。 2011年に原発8基を閉鎖した後も輸入量が増えていないことを示すこの資料が、そのことを説明してくれています」。

「支援制度を通じて再生可能エネルギーを増やし
火力エネルギーの生産効率を高めたおかげ
欧州では原子力エネルギーが安いとは誰も言わない」

韓国の再生可能エネルギー比重は事実上1.3%
「持続可能な社会のために投資が必要」

 実際、彼が公開した2003年以後のドイツの月別電力輸出入資料によれば、ドイツは2003年以降、一貫して電力純輸出国の地位を失っていない。 特に原発8基を閉鎖した翌年は、輸入が輸出を超過した月は皆無だった。 2008年下半期から始まった電気の卸値の下落傾向も続いている。レマン局長は「再生可能エネルギーで生産した電力に一定の収益を保障する発電差額支援制度(FIT)により再生可能エネルギー発電の比重を計画的に引き上げ、既存の火力発電所施設を改善してエネルギー生産効率を高めた結果だ」と説明した。 ドイツの再生可能エネルギー発電の割合は2000年の発電差額補償制度の法制化以後、急速に高まっている。 2001年6.6%、2006年11.6%、2011年20.4%と、5年ごとに約2倍ずつ増えている。

 レマン局長は「韓国でも、市民社会や政党など全てのレベルで、持続可能な社会へと進むための目標を定める議論が始められることを望みます。 その目標がどのように定められるにしても、その道はエネルギーの効率化と再生可能エネルギーへの転換を通してのみ、可能だと考えます」として、再生可能エネルギーに対する投資を重ねて強調した。

 韓国の再生可能エネルギー発電の割合は恥ずかしい水準だ。 政府は2012年の再生可能エネルギー発電の比重を3.66%と発表したが、これは外国では再生可能エネルギーに分類していない産業廃棄物を焼却して作った電力まで含めた数値だ。 国際基準を適用すれば、1.3%に下がる。 そんな中で政府は火力発電所から出る温排水までを再生可能エネルギーに分類する方案を推進して、批判を浴びている。 レマン局長は「だめです。 それは再生可能エネルギーにはなり得ません」ときっぱり言った。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/676894.html 韓国語原文入力:2015/02/04 21:29
訳A.K(1729字)

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