京釜(キョンブ)高速道路のソウル料金所で料金徴収員として働く40代のパク氏は「アペックスソウル」という下請企業に所属する労働者だ。2003年から韓国道路公社所属の期間制労働者として6年間働いたが、道路公社は2009年、料金徴収員たちを今の下請企業に転籍させた。同じ場所で同じ仕事をしているにもかかわらず、会社を移ることでパク氏と同僚たちの時給は5500ウォン(約600円)から4200ウォン(約460円)に下がった。 150人程の料金徴収員をかかえる下請企業に社長は5人もいて、全員が道路公社の高位職出身だ。 パク氏は「減った給料がどこに行ったかは十分察しがつく」と話した。
所属は下請企業だが、仕事は料金所脇にある道路公社ソウル営業所の道路公社職員が主に指示した。 特定の料金所に列が長くなると、元請けの道路公社職員が来て問い質しもした。 料金徴収職員の出退勤や休暇は、下請企業が道路公社に逐一報告していて検討された。 4つの班が順ぐりに3交代勤務をするが、個別の班を管理する道路公社職員が1人ずつ配置された。 料金徴収業務が終わると元請けの道路公社所属の管理者が、運転者から受け取った金額と釣り銭が合っているか、いちいち確認した。 適法な請負ならばどれもしてはならない事だ。
裁判所が、パク氏のように働く料金徴収労働者は下請業者ではなく元請である韓国道路公社に所属する労働者だという判決を下した。 ソウル東部地裁民事15部(裁判長キム・ジョンムン)は6日、労働者たちが下請企業の所属であるにもかかわらず、実際には道路公社の指揮・命令を受けて働いたことを認めて「道路公社と労働者が所属している下請企業の運営者たちとの間に締結された請負契約は、実質的に労働者派遣契約に該当する」として、勤労者地位確認訴訟を起こした労働者529人全員に軍配を上げた。 元請の使用者が下請労働者の仕事に介入していなければ請負契約として認められるが、この場合には道路公社が介入しているので、請負ではなく派遣労働と見なければならないということだ。 高速道路の料金徴収員は許容された派遣業種でないため、“不法派遣”になる。
この判決により、2007年7月以前に下請企業に入社した労働者202人は、働き始めて2年が経った時点から派遣法に基づいて道路公社に雇用されたものと見なければならず、2007年7月以降に入社した327人は道路公社が直接雇用する義務が生じた。
韓国道路公社が管理する全国の料金所は334カ所に達し、委託会社に所属して働く労働者は7200人に達する上に、労働形態も似ていて、裁判所の確定判決が出れば波及力は大きくなる見通しだ。 類似の訴訟も相次ぐと見られる。
韓国道路公社のような公共機関がこのような間接雇用と不法派遣を乱用していることに対する批判も強い。 今回の訴訟を代理したカン・サンヒョン弁護士は8日、「公企業である道路公社が政府の政策に沿って外注化に乗り出し、不法派遣まで行っていることに対し裁判所が歯止めをかけた。 政府の管理監督が問題だ。 公社は料金徴収員を直ちに直接雇用しなければならない」と指摘した。 道路公社は、直接雇用する計画はないとして控訴する方針を明らかにした。