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新たな外交枠組みが生まれる北東アジアで道に迷う韓国

登録:2014-11-10 09:00 修正:2014-11-10 14:25
朴槿恵大統領が9日午後、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議出席のため北京首都国際空港に到着し儀仗隊の前を通りすぎている。北京/イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

北朝鮮と米国は抑留者問題を解決
中日は領土・歴史問題を収拾し対話局面に
南北交流・協力や6カ国協議など主導権回復が急務

 長期間にわたり膠着状態に陥っていた北東アジア情勢が、北京で今週開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)を機に新しい枠組みの動きを見せている。

 北朝鮮に抑留中の米国人が8日に電撃的に釈放され、北朝鮮と米国の間で本格的な対話を模索する動きが広がっているうえ、領土と過去の歴史問題で4年もの間尖鋭に対立してきた中国と日本もAPECでの首脳会談開催に合意し、両国間の葛藤を収拾させ始めている。朴槿恵(パク・クネ)政権は南北関係の改善を基軸にする出口戦略を準備しなければ、北東アジアで外交主導権を喪失することになると憂慮されている。

 まず、北朝鮮はバラク・オバマ米国大統領のアジア歴訪を前日に控えて、抑留中のケネス・ベ(46)とマシュー・ミラー(25)の二人の米国人を電撃的に釈放した。ケネス・ベは2012年11月3日に北朝鮮に行き15年の労働教化刑、今年4月10日北朝鮮に入国したマシュー・ミラーは9月14日に6年の労働教化刑を宣告された。二人はともに「反共和国敵対犯罪行為」の容疑を受けた。先月21日釈放された米国人のジェフリー・ファール(56)と異なり、二人は刑を宣告され服役中だったという点で、北朝鮮としてはかなりの“政治的決断”をしたことになる。

 これまで米国政府は抑留者問題が朝米関係の障害物になっていると何度となく強調してきた。今回の抑留者釈放で朝米関係の大きい障害物の一つが片づけられた。また、シドニー・サイラー米国務部6カ国協議特使は最近『ハンギョレ』などとのインタビューで「非核化を始めて北朝鮮が約束を守り、それにより他の国も(それに相応する)約束を守ることにより互いに信頼を積むことができる」として“行動対行動”の原則を公開的に明らかにしていた。米国人釈放が朝米間の信頼構築の呼び水になる可能性もある。

 尖閣列島(中国名、釣魚島)と安倍晋三首相の靖国神社参拝問題をめぐり対立し続けてきた中国と日本も関係改善の動きを見せている。ヤン・ジェツ中国外交担当国務委員と谷内正太郎国家安全保障局長が7日「尖閣問題をめぐる異見を認める」と「(日本の)歴史直視」などを含んだ4項目に合意し、首脳会談の障害物が片づけられたのだ。

 北京の消息筋は「具体的な会談の雰囲気を調べるべきだが、中日関係は底を打っただけに両国は互いを刺激する動きを自制し、安定的な関係を作っていこうになるだろう」と見通した。

 もちろん、朝米の関係改善模索の動きが動力を得れず座礁する可能性も排除することはできない。北朝鮮は抑留米国人を釈放したが「米国の中間選挙で共和党が圧勝した状況で、北朝鮮は過去に何度も学習した経験から残り2年のオバマ政権に大きな期待はしない」(キム・ドンヨプ慶南大学極東問題研究所研究教授)であるとか、「中間選挙に負けたオバマ大統領がむやみに北朝鮮に接近するのは容易でない」(チェ・ジョンゴン延世大学教授)などの指摘もある。中日関係についても、習近平主席の人民軍現代化作業と民族主義強化、安倍晋三首相の自衛隊活動強化と民族主義の歩みを考えると、両国関係はいつでも再び衝突しかねない情勢にある。

 それでも韓国政府が今のように南北関係の主導権を失い、朝鮮半島周辺の外交変化にだけ神経を募らせる“天水田外交”ばかりしていては、深刻な弊害が生じかねないと専門家らは憂慮する。ヤン・ムジン北韓大学院大学校教授は「今のように朝日、朝米を経て南北に影響をでるのが望ましいのか疑問に感じる」として「(北朝鮮が)“通米封南”の姿勢に戻れば(韓国内の)“南南葛藤”に、南北葛藤、韓米葛藤などの混乱を引き起こす恐れがあるので、南北間対話・交流協力を一日も早く復元しなければならない」と強調した。

 キム・ジュンヒョン韓東大学教授も「韓国が北朝鮮の意図の確認や6カ国協議への復帰条件緩和などを主導すればオバマ政権の負担も減らすことになる」と韓国の積極的役割を注文した。韓国政府が南北関係と6カ国協議復元に主導する場合、中日首脳会談にともなう国内世論の負担や北朝鮮の脅威を根拠に韓日関係の回復を求める米国の圧迫も減らすことが出来る。

イ・ヨンイン キムウェヒョン記者、ワシントン、北京/パク・ヒョン、ソン・ヨンチョル特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.11.09 23:34

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/663672.html  訳Y.B

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