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[社説] 遺族の心に傷を残しただけのセウォル号3か月

登録:2014-07-16 11:46 修正:2014-07-17 07:43
15日午後、京畿(キョンギ)安山(アンサン)を出発して16日午後にソウル汝矣島(ヨイド)の国会に到着した檀園高2年セウォル号沈没事故生存生徒たちが、国会のフェンスに黄色いリボンをつけている。 キム・ギョンホ記者 jijae@hani.co.kr

 3か月前、十七才の幼い生徒たちが船体とともに沈んでいく姿を全国民が目の当たりにしながら黙って見ているしかなかった。驚きとともに胸が詰まり、やみくもに泣き叫び続ける毎日は、生徒の親ばかりではなかった。共に痛みを感じる気持ちはそれほど純粋だった。だがセウォル号惨事の遺族たちの涙はいまだに続いている。遺族らは14日から国会議事堂と光化門(クァンファムン)で無期限断食座り込みを始めた。安山檀園高校の生徒たちはこの遺族たちを訪ねて15日、学校から国会議事堂まで徒歩による行進を始めた。セウォル号惨事の真相究明と再発防止策を用意するための特別法制定の論議が遅々として進まないことに抗議するためだ。いったい彼らは誰のせいで心に傷を受け、今もこのような行動をせざるを得なくなったのか。

 与野党は10日、セウォル号特別法を16日の国会本会議で通過させることを朴槿恵大統領との会談の席で合意した。その後、何度か会議はあったものの進展はしていない。特別委の構成と権限の問題で平行線をたどっているためだ。中身をみると与党であるセヌリ党のせいと考えざるをえない。

 セヌリ党は遺族の特別委員会への参加にすら消極的だ。特別委の議決要件を制限し、まともに活動することも難しくしている。特別委に捜査権と起訴権を付与しようとする遺族たちの提案もかたくなに拒否している。資料の提出を要請する権限ぐらいでは聖域なき真相究明は不可能だという事は国会の国政調査でも確認されているところだ。独立的な捜査をするためには特別委に実質的な起訴権が付与されるよう知恵をしぼる必要もある。そのような努力をするどころか、遺族との協議も回避して形だけの特別法を作るならば国民や遺族の共感は得られない。大学の特別入学など遺族たちが求めてもいない補償策を示したからといって、遺族たちの気持ちが静まるわけはなかろう。

 "真相究明がなされないまま賠償や補償を受けても何の意味もないだろうし、責任が誰にあるかも明確にしないまま便宜を受けても慰労にはなるまい" という遺族代表の言葉はそれゆえに一層切実に心を打つ。

 セウォル号惨事の犠牲者は貴い花だ。ひとまとめに数字で表され忘れられていく書類上の被害者ではなく、ひとり一人が生き生きとした夢と希望を抱き、今まさに花開こうとしていた美しく大切な息子や娘たちだ。一瞬にして消えた彼らを忘れようとしてはならない。こうしたことが再び繰り返されないようにするには、私たち皆の胸にあの日の彼らを刻んで大切に思い続けねばならない。特別法をきちんと作ることはその第一歩だ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/647020.html 韓国語原文入力:2014/07/15 18:28
訳T.W(1194字)

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