キム・ミョンス社会副総理 兼 教育部長官候補者が修士学位論文を指導した弟子のイ・ヒジン氏が、<ハンギョレ21>に手紙を送ってきた。 イ氏は現職の小学校教師だ。 イ氏は「この手紙で教授に二度と会えなくなるかもしれないという恐れもあったが、師匠が恥ずかしくない姿を見せることを切に望む気持ちで手紙を書くことにした」と話した。 キム候補者側は「聴聞会に行って話す」として、事実関係に対する特別な弁明はしなかった。 手紙の全文は29日に発刊された<ハンギョレ21>(1018号)とインターネット ハンギョレ(△「キム・ミョンス教授、聴聞会前に論文疑惑を認めてください」)で読むことができる。
--------------------------
こんにちは、キム・ミョンス教授
社会副総理 兼 教育部長官候補者に指名されたという便りをニュースで接しました。 ポータルサイトごとに教授の写真がメイン画面に載っています。 ある雨の降る日に写された写真を見て、私が教授に指導を受けて教員大大学院で勉強した2009~2010年ですが、その時に使われていた傘を今でも使われているんだなと思いました。 他の記憶もたくさん思い出します。
大学院在学時期、他の学生たちとこんな話をしたことがあります。 指導教授が単独著書が一つもないということがとても気に障ると。 それで学生たちが一緒に原書でも翻訳してから教授に指導を受けて、教授の単独著書として出版するよう提案を差し上げようかと言う話もしたことがあります。 そういう話をする程、私だけでなく研究室にいる学生たちは皆分かっていました。 教授の研究実績があまりないという事をです。
今、盗作疑惑が提起されている論文のうち、相当数は私が一緒に授業を聴いたり研究室で会った人々の論文です。 私はその論文を原著者が書く過程も見ているし、全部書いた論文を教授を第1著者にして学術誌に載せるために、学生が自分で要約する過程も何回も見ました。 教授が他の大学や機関に特講に出て行かれる時、必要な原稿を修士課程の学生が毎度代わりに書きました。 発表するプレゼンテーション資料もやはり学生が作りました。 その上「その原稿とプレゼンテーション資料を全部読むことはできないので、重要な部分だけを抜粋して発表する原稿だけ別にメモで作ってほしい」と言われましたね。 発表会場まで運転もさせましたね。 このような教授の要求を正面から拒絶できなくて、陰でののしる学生の姿も大学院の日常でした。 もちろん労働の代価はありませんでした。
教授が永らく受け持ってこられた<文化日報>のコラムもやはり例外ではありませんでした。 教授がおっしゃる方向と論旨で学生が文を書いて、教授がその文を確認された後に少し修正して渡されるのが<文化日報>コラムでした。
もちろん、学生に特講の原稿を任せて、嘘のプロジェクトをして、私的な事にまで学生を動員するのは教授だけがなさったことではありませんでした。 多くの教授がそうでした。 教授の間でも相互に非難されていたし、私もまたそのような教授と要求に屈服する学生たちを非難したりもしましたが、問題提起をしたり解決しようとまでは考えられませんでした。 教授がおっしゃる‘慣行’とはこういうことでしょう。 誤ってはいるが、長くそんな風に行われていて、誤りとは認識できないと。 誤りであることを知ってはいても、直すために立ち上がらなかった数多くの人々が一緒に作った社会悪。 それが慣行です。
ですから教授、‘慣行だった’あるいは‘学生の同意があった’という話は、弁明や説明にはならないのです。 論文盗作疑惑は弁明の必要もないことです。 元論文と盗作論文を比較すれば、誰でも確認できることです。 また、盗作において原著者の同意有無は重要な問題ではありません。 教授が私にくれた教えのように、論文と研究は知識の生成と共有を目的とすることであり、その二つは完全に別の過程ですから。 私が書いたこの文は私のもので、誰かがこの文を共有することに対して私が同意すると言ったとしても、この文を書いた人が変わるわけではないということは、研究倫理を問い詰めるまでもなく自明なことです。
ですから教授、どうか論文疑惑に対して弁明しないでください。 認めて、今まで教授に対面して嫌だと言えなかった多くの弟子に謝ってください。 そして師匠として、熾烈に研究して、学問を磨く文化を見せるのではなく、学生どうしが教授の寵愛を巡って競争するようにさせたことに対して、是非責任を痛感してください。 一生を大学の講壇で、そして研究者として生きてこられた教授の過去の足跡が一つ一つと明らかになっている今、その状況を知っている多くの教授の弟子をごまかさないでください。 その時は慣行だったので互いに分からないようにやり過ごしたとしても、今はこのように全国民に知らされた状況で、もはや逃げ道はありません。 その最後として是非、教授が認めて責任を負う姿を見せてください。
整理/パク・スジン<ハンギョレ21>記者、キム・ミンギョン記者 salmat@hani.co.kr