2日午後、ソウルの地下鉄2号線で停車していた列車に後続の列車が追突する事故が発生した。死亡者や重傷者はなかったが乗客200人余りがケガをする大惨事も危惧されるものだった。セウォル号事件の衝撃が続いているなかで、大勢が利用する交通機関が再びこういう事故を起した。我々の社会の不安度がいかなるレベルなのか端的に示す事故だ。
事故原因はまだはっきりしない。しかし乗客を乗せた地下鉄車両が先行車に追突するという形は極めて異例だ。セウォル号事件と同様に各種の段階の油断と怠慢が重ならないと起き難い事故だ。
ソウル地下鉄2号線の列車は手動で運転されているが、他の路線と同じように列車が接近すると自動で止まる自動安全距離維持装置を全て装着している。列車の運行過程を統制して連絡する中央管制センターも常に稼動している。それでもこのような事故につながったのだ。関係者たちは自動安全距離維持装置の故障のためだと推定しているという。故障していることに気づかなかったり、整備しないままに運行していたためであろう。そのうえ、中央管制センターが車両の間隔や故障、停車の状況をきちんと把握して警告できなかったミス、機関士の油断などが重なってこのような事故を巻き起こしたのではないかと疑われる。地下鉄車両の使用年限が20年から30年に延ばされ、23年たった古い車両を運行して事故がおきたのもセウォル号と似ている。何か一つの段階で誰かが安全を最優先して規則通り働いていたら避けることもできた事故であったわけだ。
事故後の対応も問題点だらけだ。衝突直後、どちらの車両でも案内放送がすぐにされなかったという。こういうことが起きればすぐに案内放送をして乗客を落ち着かせ、避難誘導するという規則の遵守はほったらかしにされた。事故後20分余り、案内放送がなかったために、乗客の不安と混乱はいかばかりだったろう。待機するよう指示され、沈没するまで避難放送がなされなかったセウォル号事件とこの面でも似ている。乗客は自己判断で、不安なまま地下の線路をたどって待避せねばならなかった。「迅速な救助システム」など、いぜんとしてまともに作動していない。
今回の事故は幸い軽微な被害で済んだものの、危うく大事故につながることもありえた。悲惨な事故の可能性はいつも私たちの身近にある。一つ一つていねいに再点検し、整備すべきだ。安全な社会は、口で言うだけでは決して実現するものではない。