日本のある地方自治体が隣県で進行中の原子力発電所建設事業の中止を要求する訴訟を起こすことにした。
日本、北海道南端にある函館市が、津軽海峡を挟んで対岸にある青森県の大間原子力発電所の工事中止を要求する訴訟を来月起こすと<朝日新聞>が12日報道した。 工藤壽樹 函館市長はこの日記者会見を行い、このような事実を正式発表した。 工藤市長は3・11福島事故直後の2011年4月、大間原子力発電所の工事中止を公約に掲げ市長に当選した経緯がある。 <朝日新聞>は地方自治体が国家と電力会社を相手に原子力発電所の工事中止を要求する訴訟を起こすことは今回が初めてだと伝えた。
函館市は大間原子力発電所が立地することになる大間町と接してはいないものの、北海道と本州を隔てる津軽海峡の最短距離が23kmに過ぎない。 そのため、核事故に備えて避難準備などが必要な防災対策重点区域(UPZ・原子力発電所から30km以内)に市の一部が含まれている。
函館市はこの日、訴状で "事故が発生すれば函館市も壊滅的な被害を受ける危険性がある。 個人が生命と身体の安全を保証される人格権を持っているように、地方自治体も自身の崩壊を防ぐ権利がある" と明らかにした。 また、国家を相手に "3・11福島第1原発事故前の基準により建設許可が出ているだけで、許可自体に違法性がある" と主張した。
今回の訴訟は、原子力発電所を巡る日本国内の環境葛藤にまた別の転換点として記録されるものと見られる。 これまでは原子力発電所を建設するには対象原子力発電所が立地する基礎地方自治体(町または市)と広域地方自治体(県)の同意さえあれば良かった。 しかし3・11事故に見るように、事故の余波は原子力発電所の建設に同意しなかった他の地方自治体にまで波及する。 原子力発電所の建設で交付金と景気活性化効果などの利益を受ける人々と事故の被害を受ける人々が一致しないわけだ。 <朝日新聞>は大間原子力発電所を建設中の‘Jパワー’が、今春に日本原子力規制委員会に原子力発電所稼動のための安全審査を申請する予定と見て、工藤市長が急遽訴訟を決心したと伝えた。
原子力発電所が建設される大間町は日本で一本釣りの新鮮なマグロで有名な地域だ。 しかし最近、マグロなどの漁獲量が減り 「このままでは村が消えるかも知れない」という危機感から原子力発電所の誘致を決めた経緯がある。 大間町に建てられる出力138万kWの原子炉は、使用済核燃料から抽出したプルトニウムとウラニウムを合成した‘MOX燃料’を使う世界初の原子炉だ。 このような事情のために安全性を憂慮する声が絶えない。 工事は2008年5月に開始され、福島核事故以後しばらく中断されていたが2012年10月に再開された。
東京/キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr