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国策事業、農漁村に犠牲強要 繰返し‘環境正義’の定規で密陽(ミリャン)葛藤 解決を

登録:2013-10-06 23:48 修正:2013-10-07 07:54
2日午前、密陽市(ミリャンシ)丹場面(タンジャンミョン)九千里(クチョンリ)パドゥリ村‘89番送電塔’工事現場で韓国電力が重機を利用して場所を占めフェンス工事をする間、鎖を体に巻きつけた村の住民たちが工事現場進入路に座り込み工事関係者たちの出入りを阻んでいる。 密陽(ミリャン)/キム・ポンギュ先任記者 bong9@hani.co.kr

 密陽(ミリャン)送電塔問題は韓国社会の‘環境不平等’状態を見せる全国的事案であり、電気を使う国民全員は‘外部勢力’ではなく‘当事者’と見るべきだという指摘が出ている。 送電塔建設に反対する住民の世論を‘国策事業に反発する地域利己主義’ではなく‘環境正義’を要求する声として受けとめ、社会的合意を通じて制度的対策を用意しようということだ。

 環境正義は社会構成員全員が環境利用の便益はもちろん、その過程で伴う各種負担・被害も等しく分け合わなければならないという原則だ。 米国では1982年ノースカロライナ州で有毒性の強いポリ塩化ビニル(PCB)を黒人居住者が75%を占める地域に埋め立てようとしたが、市民の不服従運動に直面し関連議論が始まった。 以後すべての公共機関が業務で環境正義を実現するための多様な制度が用意された。

 我が国で電力を大規模に生産する地域と消費する地域は明確に分かれている。 ソウルを含む首都圏の電力生産比率は5%だが、消費率は31.59%に達する。 原子力発電所と火力発電所は慶南・北、忠南(チュンナム)、全南(チョンナム)地域に集中している。 ユン・スンジン ソウル大環境大学院教授は「生産設備が設置された農漁村地域から大都市に電力を送るには、大規模送電塔と送電線路が必要にならざるをえない。 過去には抑圧的な政治の雰囲気の中で国策事業という名分を前面に掲げ低所得・高齢層・疎外地域を中心に格別の抵抗を受けずに送電塔を建設できたが、今は意識水準が違う」と説明した。 学界で高圧送電網の電磁波被害についてまだ結論が出ていないが、世界各国では人体有害危険性を源泉遮断する‘賢明な回避’と先制的に注意措置を取る‘事前主義原則’に立って施設を地中化したり設置を放棄している。

 建設計画の樹立過程に住民たちが参加できる実質的な方案を用意しなければならないという指摘も出ている。 韓国電力公社は2003~2004年に送電塔建設地域を確定し、設計・測量などに入ったが、チャン・ハナ議員(民主党)が依頼してエネルギー正義行動が出した委託研究報告書を見れば地域住民たちは土地測量がなされる過程で偶然に建設計画を知ることになった。 この報告書は「韓電が慶南(キョンナム)梁山(ヤンサン)・密陽(ミリャン)・昌寧(チャンニョン)で住民代表と452回、村代表と862回、宗教団体と22回の協議をしたと言ったが、ほとんどが計画確定後に協調を求める次元で実行されたこと」と明らかにした。 エネルギー正義行動イ・ホンソク代表は「憲法35条と環境政策基本法で‘すべての国民は健康で快適な環境で生活する権利がある’として国民の同等な環境権を明示しているが、具体的制度は不備だ」と説明した。

 密陽送電塔問題を韓国のエネルギー生産・消費構造に対する根本的問いに拡張しなければならないという主張もある。 オム・ウンヒ ソウル大アジア研究所専任研究員は「政府は今後、古里(コリ)地域に原子力発電所をさらに作ることを計画しているために密陽(ミリャン)に送電塔を作ろうとしているが、反対住民たちはこのような計画自体に反対している。 単純に送電塔の問題だけでなく原子力発電に対する社会的議論が同時に必要だろう」と話した。 ユン・スンジン教授も「密陽の住民たちは電気が誰かの‘犠牲’を通じて生産・流通することを知らせ、電力消費の非倫理性を暴露している。 このような電力システムに対する社会的対話と討論が必要だ」と付け加えた。

キム・ヒョシル記者 trans@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/606001.html 韓国語原文入力:2013/10/06 22:01
訳J.S(1635字)

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