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政府に後頭部を殴られて…捨てられる学校英語講師

登録:2013-06-21 11:01 修正:2013-06-21 11:29
8月の契約満了を控えた英会話専門講師たちが19日午前ソウル市世宗路(セジョンノ)の政府ソウル庁舎前で白い喪服姿で解雇撤回を要求している。 パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr

 4年前、いや昨年までも、自分が死を象徴する白い喪服を着て記者会見を行なおうとは考えもしなかった。 19日ソウル市世宗路(セジョンノ)の政府ソウル庁舎正門前で会った慶北(キョンブク)のある中学校英会話専門講師(英語講師)キム・ギョンフィ(44・女)氏は「今この状況にまごついています」と言った。 小・中・高校で正規授業時間に生徒たちに英会話を教える英語講師526人の大規模契約解除が目前に迫っているためだ。 キム氏もその一人だ。

 もともと起亜(キア)自動車に勤めていたが、育児のために仕事を辞めたキム氏は2008年、実用英語を教える学校英語講師の職種ができるという話を聞いて1年間準備にまい進した。大学で英文学を専攻したキム氏は英会話を専門に教える専門資格であるTESOL(テソル)課程を履修しており、塾講師として働いた経験もある。 2009年にキム氏が見た教育庁の公告文には「62才まで定年可能」、「一校で4年勤務」と表記されていた。 当時彼女はこの英語講師の職を「ビジョンある職業」と感じた。 それでなおさら、今の状況が信じられない。

 試験手続きも容易ではなかった。 1次の書類選考にはテソル資格と英文科卒業の学歴、塾講師の経歴を出した。 2次選考では本人が予め出した授業計画書の内容をまるごと覚えて奨学官3人を前に英語で授業した。 3次では奨学官とネーティブスピーカーによる英語面接を受けた。 苦労して合格しただけに自負心も大きかった。 ところが合格してから、何かおかしな気配を感じ始めた。 奨学官は「この制度は初めて施行されたもので、英語講師の将来と関連して確実なものは何もない」と言った。 彼女は「最初に一週間の研修に行ったが、思っていたのとは違うかもしれないという気がし始めた」と語った。 契約書を書く時も1年ごとに契約を更新するということだけで、4年が過ぎたら完全に契約が解約されるとは考えられなかった。

 英語講師の生活は簡単でなかった。 非正規職ということで体験する悲哀は多かった。 制度導入初期である2009年には特に激しかった。 「私の場合はそれでも学校がよくしてくれた方です。 他の講師は教室がないから倉庫に行って授業しろと言われ、自分で全部掃除して授業したとも言っていました。 妊娠したからと退職を強要されて流産したケースも見ましたし」

 差別は彼女と“いつも一緒”だった。 正規の教師と同等なレベルで仕事をしても、盆正月に出る手当てはもらったことがない。 成果給や福祉性格の学資金補助もない。 キム氏は「一度ももらったことがないし、他の教師たちも話してくれないから盆正月の手当てなどがいくらなのかも知らない」と語った。学校の長期休みになっても休むことはできなかった。 正規教師は当直で一日程度出てくるが、英語講師は休みを通して学校で行なう英語キャンプを準備し、教えなければならなかった。 休み中のネイティブ講師の授業管理もキム氏の役割だ。

 彼女は「このように英語講師として1年ほど仕事をする中で、徐々に未来が不透明だという事実を知るようになった」と話した。「英語講師運用に関連する教育庁の指針が、途中で何度も改正されて下りてきました。 英語講師がなくなるといううわさもありましたが、教育部に尋ねればそんなことはないと言うだけで・・・」

 そんなところへ教育部は昨年10月、4年勤務者が4年追加勤務できる方案を発表しもした。 当時キム氏は他の英語講師2人と一緒に直接教育部に行って担当チーム長に会いもした。「その時、担当者は確信していました。雇用が安定するように必ずすると。 そうできなければ自分は責任を取って辞めるとまで言いました。」

 追加でさらに4年間仕事をしてみたところで、また同じ4年間の非正規職生活をすることになるが、それさえもどうするか決定できなかった。 「教育部と対話を続けてきましたが、後頭部を殴られた気分です。 退職手順を踏んで新しく学校の試験を受験しろと言うんですが、公正な試験になるか分かりません。 受験するとしても合格するという保障もないし、私も子供たちが高1、中2なので大学までやるにはお金がたくさん必要なのに、夫一人では大変じゃないですか。 それでも私はまだいい方ですが、片親家庭の家長である方々がとても多いんです。」 キム氏が言葉を濁した。

 キム氏のような第1期英語講師に続き、第2期で選抜された1500人余りは来年2月、第3期で選抜された1000人余りも2015年2月には契約期間4年を満たすことになる。 大量解雇が毎年続く予定になっているわけだ。 彼女にとって学校とは、必要なことをいつも非正規職にさせ、必要がなくなれば容赦なく切り捨てる回転鋸の刃に過ぎない。

ウム・ソンウォン記者 esw@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/592544.html 韓国語原文入力:2013/06/20 08:18
訳A.K(2269字)

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