ドアの隙間をトイレットペーパーで塞ぎ、暖房機脇に横向き睡眠
面積が広い女性障害者用が選好度高く
憩いの場での集団生活・規則を避けて訪ねる
‘ホームレスが恐い’不平嘆願も度々
ソウル市 "個室を与える希望ワンルーム運営"
14日夜10時30分、ソウル龍山区(ヨンサング)K公園のある公衆トイレから奇妙な音が聞こえてきた。‘ゴシゴシゴシ’。ホームレス キム・某(53)氏が2坪余りの障害者用トイレの床をトイレットペーパーで拭っていた。 キム氏は続けてトイレの床に新聞紙を敷いた。 小さなビニールを丸めてトイレのドアの隙間も塞いだ。 外の気温は零下4度だったが、トイレの中はラジエーターが稼動していて結構暖かかった。 キム氏はそのまま横になった。
昨年11月からキム氏はこのトイレを見つけた。 通行人が殆どいなくなる夜9時に入ってきて、通行が始まる朝6時にトイレを出る。 公園管理人の目を避けて市民にも不便をかけまいとそれなりの‘規則’を決めた。
日付が変わった15日翌1時に、ソウル永登浦区(ヨンドンポク)N公園の障害者用トイレでも3人のホームレスが深い眠りについていた。 40代と見える男性ホームレスはトイレの床に団ボール箱、アルミ箔ゴザ、新聞紙をきちんと積んで寒気を防いだ。 トイレぼドアの隙間はトイレットペーパーで塞いだ。 彼は黒のパーカーを着たままトイレのラジエーターにぴたりと寄り添って横向きで寝ていた。 床には食べ残したチョコバーが転がっていた。
今冬の記録的寒波をトイレで耐えるホームレスはソウルだけで少なくとも数百人に達すると推定される。 昨年12月、全国野宿人福祉施設協会が発表した資料を見れば、ソウル地域のホームレスは計4374人で、この内、憩いの場などに入所せずに路上で過ごす人々は964人だ。
"ソウル市のすべての公園の公衆トイレでホームレスが寝ていると見て良いです。それさえも力のある人々だけが寝れます。 弱い人々や老人たちが行けば無視されたり、さらには殴られたりもします。」ソウル市庁前で会った50代初盤のホームレスが話した。 憩いの場の集団生活を敬遠する路上のホームレスにとって公衆トイレは‘お気に入りの寝床’だということだ。
‘路上ホームレス’たちはかつてはソウル駅または地下鉄駅などで冬を過していた。 しかし最近は駅舎でホームレスを追い出す取り締まりがなされ、彼らが公衆トイレに追い込まれているというのが関連専門家たちの分析だ。 現在、ソウル市にある720ヶ余りの公衆トイレの中で24時間開放しているトイレは616ヶだ。 この内の相当数は凍結破損防止のためにラジエーターなどの暖房施設を終夜稼動している。
"ホームレスは障害者用トイレを好み、その中でも女性用をさらに好む」と龍山区(ヨンサング)K公園のトイレ管理担当者パク・某(47)氏が話した。 面積が広い女性障害者用トイレはホームレス3人が一度に入って寝れるほどだ。 普段利用する人も殆どいない。 パク氏は 「清掃時間である朝8時に来てみれば、人々はすでに消えているが、シャワーをして行った跡がたびたび目につく」と伝えた。
ソウル市にはホームレスのための憩いの場が39ヶ所ある。暖房はもちろん比較的快適な条件で宿泊できる。 それでもホームレスは憩いの場ではなく公衆トイレを好む。「憩いの場では飲酒禁止など‘規則’を守らなければなりませんね。 色々な人が集まっていると‘統制’も受けなければならなくて。 ホームレスの立場ではこのような規則と統制のある憩いの場を‘不便なところ’と感じ、制約を受けずに一人で自由に過ごせるトイレを‘安楽なところ’と考えるようです。」野宿人立ち直り支援センターでホームレスたちと共に生活しているパク・ジェソ社会福祉士が話した。
ホームレスのために公衆トイレの利用が不便だという嘆願がたびたび提起されるが、行き場がなくてここを訪ねるホームレスをむやみに追い出すこともできないとソウル市の悩みも深い。 暖房・宿泊のほかに個人の自由と私生活尊重が可能な空間を用意しなければならないという指摘も出ている。
ソウル市自活支援課関係者は「個人生活の保障を望むホームレスの要求を反映して考試院をまるごと借り上げ、ホームレスに個室を提供し就職を支援する‘希望ワンルーム’事業を示範運営している。 集団受け入れ中心の‘施設’と個人生活中心の‘住居’の中間概念であるわけだが、このような事業が成功裏に定着すれば既存のホームレス憩いの場も同じ方式に転換できるだろう」と話した。
キム・キュナム、チョ・エジン記者 3strings@hani.co.kr