日本福井県小浜市の住民、西野ひかる氏は朝起きれば先ず西側の海に向かって合掌する。 家から10km離れた大飯原子力発電所が福島原子力発電所のように事故を起こして先祖代々暮らしてきた彼の故郷と家族を奪い取らないでほしいと祈るためだ。 天候が変わる経験に照らしてみれば、大飯原子力発電所の影響は30分で彼の家に到達する。
韓国と日本の市民920人余りが8泊9日間の日程で釜山(プサン)機張郡(キジャングン)古里原子力発電所、大飯原子力発電所など両国の原子力発電所地域を訪問し、住民と交流しながら‘脱原発’の未来を討論した。 環境財団と日本NGO ピースボートが主管した‘ピース アンド グリーン ボート’は去る7日、西野氏の案内で福島事故以後、日本で唯一稼動中の大飯原子力発電所を訪ねた。
大飯原子力発電所団地には古里で見た顔なじみの丸いドーム形の格納容器4ヶが海辺に立っていた。 この内の2基が消えいく日本原子力発電所産業の最後の火種であるわけだ。
この原子力発電所の真中で地層が帯状に壊れた破砕帯が発見され、活断層か否かを巡って論難が起きている。 最近すぐそばの敦賀原子力発電所の下では活断層が発見された。
この日、チェ・ヨル環境財団代表と吉岡達也 ピースボート共同代表は両国市民の抗議の意を伝えるために敦賀市を訪問した。 チェ代表は「韓国では活断層が発見されるとすぐにやっと確保した掘業島(グルオプド)核廃棄物処理場用地を断念した経緯があるが、大きな事故を体験した国が原子力発電所稼動を強行したことは理解出来ない」と問い詰めた。 木村学 副市長は「発電所側は活断層ではないと言っている。 また、私たちに稼動を中断させる権限はない」と釈明した。
しかし三菱で原子炉格納容器を設計した後藤政志 博士は 「不確実性があるならば安全が確認されるまで原子力発電所の稼動を止めることが福島事故で得た教訓だ。 万一、大飯原子力発電所で事故が起きれば100km以内に位置した京都など関西地方の大都市が被害を被りかねない」と主張した。 大飯原子力発電所を見て回った人々がざわついた。 福島に近い日本東北地方で規模7.3の強震が起き、津波警報が発令されたという便りが伝えられた。 思いのほか現地住民は淡々としていたし、韓国参加者の安否を尋ねる電話が相次いだ。
大飯原子力発電所がある若狭湾は‘原発銀座’というニックネームを持っている。 ‘銀座’は東京の代表的な繁華街の名前だ。 高速増殖炉もんじゅをはじめとして日本で最も多い15基の原発がここに集まっている。 だが、地域経済から比重の大きい原子力発電所をなくすことはまた他の問題だ。 政府の補助金(交付金)と税金のみならず寄付など多様な形態の原子力発電所資金が地域社会に入っている。 敦賀市の原子力発電所交付金は年間約23億円(約300億ウォン相当)で、市の収入の10%を占める。
明通寺住職は「原子力発電所がないほうが良いと思いながらも、働き口と人間関係断絶の恐怖に勝てる地域発展政策がみつからなくて住民が二重の苦痛を受けている」と語った。 敦賀・小浜(日本)/チョ・ホンソプ環境専門記者 ecothink@hani.co.kr