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[社説] 貧困層の悲劇をまだくい止められないのか

登録:2012-11-22 17:39 修正:2012-11-23 05:28

 また残念でみじめな便りが聞こえてきた。昨日未明、全南(チョンナム)高興(コフン)でロウソクをつけて寝た高齢者と孫が暮す民家で火事が起き、50代の女性キムさん(58)と6才の孫が亡くなった。電気料金を払うことができずに電気使用制限にあってからロウソクで生活していて、悲惨な火事の被害にあったのだ。キムさんの夫のチュさん(60)は膝が悪く、孫を抱いて抱いて逃げることもできず、どうにか火の手を避けていたという。こういう胸の痛む惨劇はいつまで起きるのだろう。我々の社会の低所得層への支援体制は、どうしてこのような悲劇を防ぐことができない程に遅れているのか胸が詰まる思いだ。

 同家は過去6ヶ月間の電気料金15万7740ウォンが滞り、10月30日に韓電から電気使用制限にあっていた。そうなると20ワットの電灯2個とテレビ1台、冷蔵庫1台ぐらい使用できるが、電力を大量消耗する電気カーペットなどは使い難い。生活費に苦しんで、一ヶ月前から部屋の暖房を入れられず、家族は寝床の上でふとんをかぶって寒さをしのいでいたという。韓電によれば、電気使用制限にあった住居が今年上半期だけで全国で10万4000世帯に達する。2007年は一年間合計して5万5000世帯であった。電気料金を払えないほど苦しい事情の家が急増したわけだ。

 今回の火災事故は、国民基礎生活保障制の盲点と指摘されている扶養義務制の問題も改めて表面化させた。亡くなったキムさんは最近からだを痛めて主な収入源である近隣のユズ工場に行くこともできないでいたし、チュさんも普段膝の持病で仕事ができなかった。これという収入がなかったのだ。それなのに夫婦は娘が3人いるなどの理由で生活保護の受給者にならなかったという。このような扶養義務者基準のために生活保護の受給者から除外された貧困層が政府の統計(2008年基準)でも103万人にもなる。今年8月には婿の所得のために生活保護受給者から脱落したおばあさんが慶南(キョンナム)、巨済(コジェ)市役所前で自ら命を絶って世を嘆かせもした。

 キムさんのような悲劇が繰り返されないよう低所得層支援体制に対する点検が至急必要だ。例えば韓電が電流制限措置をした後、その対象世帯を保健福祉部や地方自治体などに通知するシステムが整っていたならば、境遇が苦しくなった貧困層を把握してケアすることができただろう。実際の所得は低いのに生活保護の受給者から排除する扶養義務者の基準に対する再検討もまた必要だ。

 最近一日ごとに寒くなり、気温が零下を記録している。寒い冬に体と心がさらに震える隣人に対する細かい配慮が切実に求められている。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/561676.html 韓国語原文入力:2012/11/21 19:15
訳T.W(1228字)

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