双龍(サンヨン)自動車のハン・サンギュン前労組支部長ら解雇労働者3人が昨日、平沢(ピョンテク)工場近くの送電塔に上がって籠城に入った。22~23日に開かれる国会本会議で同社の整理解雇国政調査を決議することと解雇者の復職を促すためだ。蔚山(ウルサン)では現代自動車の非正規職解雇労働者チェ・ビョンスン氏の送電塔籠城が36日目を迎えている。平沢と蔚山の鉄塔籠城は零下の気候以上に冷たい私たちの社会の‘労働温度’を象徴している。
両社には労働界の最大懸案であり時代的課題である整理解雇と非正規職問題が圧縮されている。双龍車の場合、大株主である上海車が2009年の危機を誇張して2646人の労働者を締め出した事に具体的にあらわれている。ソウル弁護士会が100日かけた特別調査の後「会社および会計法人が作った数値と報告書だけを根拠に、整理解雇の実体的要件を簡単に認めてしまうミスを犯した」と法定管理を承認した裁判所を批判したほどだ。しかし会社が1年後に復職を約束した無給休職者の450人余りさえも未だに本来の職場に戻れていない。解雇者らが大漢門(ソウル市役所前)で8ヶ月にわたり座り込みをしており、キム・ジョンウ支部長がハンスト41日目で倒れ、病院に運ばれても変わらないのが双龍車の現況だ。
現代車では非正規職社員7700人余りの正規職化をめぐって会社側と非正規職労組間の特別交渉が依然として堂々巡りしている。会社側は最高裁で不法派遣であることが確定したチェ・ビョンスン氏さえも正規職に切り替えていない状態だ。現代車の不法派遣は雇用労働部の判断も下されたにも関わらず何の改善もなされていない。
法と約束を守れという労働者の要求はあまりに安易に無視されている。そのために命をかけて目の眩むような虚空へ上がって寒さと生身で戦いながら訴えている。彼らの声に会社と政界はきちんと応えるべきだ。誰よりも朴槿恵、文在寅、安哲秀の大統領主要3候補の態度表明が急がれる。大統領選まで一ヶ月も切って、3候補は先を争って労働公約を打ち出している。程度の差はあるものの労働者の権利強化、非正規職の正規職化および差別是正なども含まれている。
だが重要なことは未来に対するバラ色の約束ではなく、現在差し迫った課題を責任をもって解決しようとする努力だ。3候補は双龍車の国政調査と現代車の不法派遣に対して早く明確な見解を明らかにすべきだ。それでこそ有権者が真実性を判断しうる。特に朴候補は双龍車の国政調査に対し中途はんぱなセヌリ党の態度を変えて、本会議で議決されるようにすることが当然だ。鉄塔の労働者の叫びに答えない候補者の約束は空言にすぎない。