李明博大統領の子息イ・シヒョン(34)氏が検察調査の際に提出した書面陳述書を誰が代わりに書いたのか教えて欲しいというイ・グァンボム特別検事チームの要請に対し、大統領府が「分からない」と通知していたことが確認された。 大統領府はシヒョン氏と伯父のイ・サンウン(79)ダース会長が署名した現金6億ウォンの‘借用証’の原本ファイルが入ったコンピュータ ハードディスクを提出してほしいという特検チームの要求に対しても 「資料がない」として拒否したことが分かった。 大統領府が資料提出を拒否し、事実上特検捜査を妨害しているという指摘が出ている。
これに先立ち、シヒョン氏は特検調査で「大統領府官邸で借用証を作成した」と述べていたことが確認された。 特検チームは李大統領の夫人キム・ユンオク(65)氏を調査する具体的な方法を検討中だ。
■陳述書‘代筆’した行政官を知らない?
シヒョン氏は先月25日、特検チームに出頭して調査を受け、イ・サンウン会長から6億ウォンを受け取った日が昨年の5月23日ではなく24日だったと陳述を変えた。 シヒョン氏はこれに先立つ検察捜査時には内谷洞(ネゴクトン)私邸敷地の買い入れ費用を用意するために‘2011年5月23日イ会長のソウル広津区(クァンジング)九宜洞(クイドン)の自宅に直接訪ねて行き、現金6億ウォンをカバンに入れて大統領府に持ってきた’という内容の書面陳述書を提出した。 シヒョン氏は「当時書面陳述書を大統領府行政官が作成し、その過程で錯誤があったようだ」と陳述を翻意した理由を説明した。 その一方で「書面陳述書を作成した大統領府行政官が誰なのかはよく知らない」と答えた。
特検チームは陳述翻意の経緯を把握するために大統領府警護処に対して、書面陳述書を代わりに作成した行政官が誰なのか知らせてほしいと要請してきた。 だが、大統領府はシヒョン氏が陳述を翻意して10日ほど過ぎたのに 「書面陳述書を代わりに作成した大統領府行政官が誰なのかは分からない」という返事だけを繰り返していることが確認された。 シヒョン氏と大統領府がともに‘おとぼけ’を繰り返しているわけだ。
■借用証‘原本ファイル’もない?
シヒョン氏は私邸敷地買い入れ代金 12億ウォンの内、6億ウォンを伯父に借りたと主張して特検に借用証を提出した。 コンピュータで作成された借用証にはシヒョン氏とイ会長の親筆署名が含まれていた。 特検チームはシヒョン氏から「大統領府官邸で借用証を作成した」という陳述を確保した後、借用証‘作成時期’を確認するために大統領府に該当コンピュータのハードディスクを提出してほしいと要求した。 シヒョン氏らの主張どおり昨年5月20日に借用証を作成したとすれば、それ以前に作られた借用証原本ファイル記録がコンピュータに残っているためだ。 だが、大統領府は「資料はない」として提出を拒否したことが確認された。 特検チームは借用証が事後に作成されたかどうかを明らかにするためには原本ファイルの確認が絶対に必要だという態度だ。
特検チームは捜査初期から大統領府警護処に関連資料の提出を要求してきたことが分かった。 だが、警護処は特検チームがくれという資料に対して‘選別して全て渡した’という態度を見せ、特検チームは‘選別せずにすべてくれ’と対抗している。 特検チームは大統領府からその間2度にわたり資料を受け取ったが、‘中身’のない資料であったと知らされた。 このために特検チームは‘押収捜索’も排除しないとしている。 イ・ソクス特別検事補は去る2日ブリーフィングで「押収捜索の可能性を捨てたと言った覚えは無い」と語った。
■キム・ユンオク氏の調査はどのように
特検チームは5日、李大統領の夫人キム・ユンオク氏の調査有無と調査方法などを決める計画だ。 キム氏は息子シヒョン氏が6億ウォンを農協から借りられるように自身のソウル、ノンヒョン洞の不動産を担保として提供した。 また、最近特検チームの口座追跡過程でキム氏の側近ソル・某氏とシヒョン氏の間にお金が行き来した情況も捉えられた。
来る7日から11日まで李大統領の国外歴訪にキム氏が同行する計画なので、14日の特検捜査終了前に特検チームがキム氏を調査できる時間は事実上5日と6日の2日間に過ぎない。 特検チームがキム氏を調査するならば今週初めになるという観測が出てくる理由だ。 キム氏の出国に対して大統領府高位関係者は「大統領歴訪に同行することはかなり以前に決定された事案」とし「金を借りるために保証人になったに過ぎず、保証書類があるだけに特検がキム氏をこれ以上調査する必要性がないと見る」と話した。 特検チーム関係者は「キム氏を調査するかどうかを決めた後に、大統領府訪問調査、第3の場所訪問調査、書面調査などの方法について議論する」と話した。
ファン・チュンファ記者 sflower@hani.co.kr