韓米両軍当局は19日、朝鮮半島での全面戦争を想定した韓米合同演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド(UFS)」の演習期間を半分に短縮して早期終了させ、この期間中に実施する予定の野外機動訓練も縮小することにした。2日前の米国のトランプ大統領による突然の訓練縮小の指示を受けての結果だが、北朝鮮に対する準備態勢や戦時作戦統制権(戦作権)移管に支障をきたすのではないかという懸念と、朝米対話や南北関係の変曲点になる可能性があるという期待が同時に出ている。
合同参謀本部はこの日、報道資料で「米国側の提案を受け、演習期間や規模などを一部調整する」と説明した。合同参謀本部は、演習期間を17日から21日に調整(当初は17日~27日)▽合同野外機動訓練(14件)を一部縮小▽連合司令部の戦時指揮所を(城南の清渓山にある)CPタンゴと(京畿道平沢にある)キャンプ・ハンフリーズの2カ所に分散すると発表した。
「乙支フリーダムシールド」のように朝鮮半島全体を対象とする戦区(戦争区域)級の合同演習は、韓米が数カ月前から細かい訓練内容や参加兵力を緊密に調整して実施する。今回のように、演習開始後に片方からの一方的な要求によって期間が大幅に短縮されるのは初めてのことだ。韓国国防部の当局者らは、トランプ大統領による演習縮小の指示の後も当初合意していた合同演習の日程は維持され、一部の野外機動訓練のみが縮小されると予想していたが、予想に反して期間・規模ともに大幅に縮小された。チョ・ヒョン外交部長官とアン・ギュベク国防部長官はこの日、国会の外交統一委員会と法制司法委員会に出席し、米国から「事前に通告を受けていなかった」(チョ長官)、「韓米政府当局者は誰も内容を知らなかった」(アン長官)と述べた。
北朝鮮の核・ミサイル能力が高度化している状況で、韓米合同演習が米国の一方的な決定で縮小されたり中止されたりする事例が繰り返されれば、韓米間の同盟に対する信頼が損なわれ、合同防衛体制が弱体化するという懸念が出ている。
アン長官はこの日、国防部庁舎で記者団に対し、北朝鮮に対する軍事準備態勢が弱まることへの憂慮について「今年予定されている合同野外機動訓練159件はそのまま実施される」と述べた。今回の演習期間中に実施予定だった訓練が延期されただけであり、年内の野外機動訓練の総件数には変わりはないという説明だ。乙支フリーダムシールドは、大隊や中隊のような第一線の部隊による戦術級の演習ではなく、朝鮮半島での戦争を想定し作戦計画を実行するコンピュータ・シミュレーションに基づく指揮所演習(CPX)。実戦性を高めるために、この期間にあわせて実機動訓練を並行して実施する。
韓米両国は、演習期間中に計画されていた大隊級以上の合同野外機動訓練14件も縮小することにしたが、個別の訓練のどれを実際に実施するのかについてはまだ協議中だとされる。韓国国防研究院のユ・ジフン研究委員は「韓米合同演習は単なる軍事演習ではなく、有事の際の両軍の指揮・統制や作戦手続きに習熟し、最小限の合同防衛体制を維持するための中核となるメカニズムである点を明確にする必要がある」と述べた。
李在明(イ・ジェミョン)大統領が任期中の達成を目標としている戦作権の移管にも、障害となる可能性がある。韓国は今回の合同演習期間中、戦作権移管に向けた条件・能力の評価を実施する計画だったが、期間短縮で戦作権の評価・検証に支障をきたす恐れがある。韓国政府は今年10月の韓米安全保障協議会議(SCM)で、未来連合司令部の完全運用能力(FOC)の検証を終え、戦作権移管の目標年度を提示しようとしている。韓国政府は2028年を目標時期に定めている。
アン長官はこの日、記者団に戦作権移管に支障が出る懸念について「それは第1部で終わるので、関係ない」と答えた。乙支フリーダムシールドの期間中に実施される戦作権移管の共同評価は、防衛段階である第1部で実施されるため、演習縮小による影響はないということだ。韓米合同演習は通常2週間だが、第1週に行われる第1部では北朝鮮による攻撃を撃退する防衛演習、第2部では反撃(北進)演習が行われる。
こうしたなか、韓米合同演習の期間短縮と規模縮小が、朝米対話の再開と朝鮮半島の軍事的緊張の緩和には肯定的なきっかけになり得るという見方も出ている。
2018年に北朝鮮と9・19南北軍事合意を協議した慶南大学のチョ・ヨングン招聘教授(元国防部対北政策企画官)は「北朝鮮は当時、韓米合同演習を名指しし、『敵対性の実体』だと強く反発した」とし、「合同演習の短縮・縮小は大きな機会であり、韓国と米国は北朝鮮との交渉カードとして活用しなければならない」と述べた。チョ教授は「11月の米国の中間選挙前までに、北朝鮮の反応を引き出さなければならない」と述べた。
一方、北朝鮮はこの日、韓米合同演習の縮小には反応せず、「われわれの自衛的権利行使はより一層明白な行動によって表現されるであろう」と主張した。朝鮮中央通信は、韓米の演習参加部隊や訓練内容、目的を詳細に明記し、「合同軍事演習は決して敵対国の悪習化した軍事的慣行であるのみとは見られない」とし、「(演習の)諸般の構成要素は危険極まりない進化を重ねており、これは朝鮮に対する戦争演習の実戦性の向上と、朝鮮半島と地域の安全保障構図で優位を先占することにあくまでも向けられている」と論評した。