韓国政府は、新規核(原子力)発電所と小型モジュール炉(SMR)の追加導入を検討することを公式に発表した。龍仁(ヨンイン)と湖南(ホナム=全羅道)の半導体産業団地と人工知能(AI)データセンターの拡大によって急増する電力需要に対応するための措置だが、再生可能エネルギーの拡大を国政基調として掲げてきた政府が原発の拡大を明らかにしたことで、今後、エネルギー政策をめぐる論争は激しくなるとみられる。
キム・ソンファン気候エネルギー環境部長官は、李在明(イ・ジェミョン)大統領を議長とする13日の国家財政戦略会議で、「電力需要の急増への対応と電源の安定化に向け、新規原発と小型モジュール原子炉の導入の是非を、専門家の意見の集約と国民の公論化を経て、第12次電力需給基本計画(電基本)に反映させる」と述べた。
先月29日の3大メガプロジェクト発表以降、カン・フンシク大統領秘書室長、キム長官らがさらなる原発の必要性を相次いで語っていたが、公式の会議で新規原発の検討について語られたのは初めて。第12次電基本は、今年の通常国会前に策定される予定となっている。
政府は、急増する電力需要が原発検討の背景にあると語った。キム長官は、龍仁と湖南の半導体産業団地やAIデータセンターなど、すでに確定した事業だけでもさらに30ギガワット(GW)規模の電力が必要だと説明した。さらに電気自動車への転換や暖房の電化も加えると、電力需要の増加は2040年までに50ギガワット以上になるとの見込みを示した。キム長官は「石炭発電の段階的廃止も考慮すべきだ」とし、「2030年までに再生可能エネルギーの設備容量の100ギガワット以上への拡大と原子力を併用するエネルギー大転換のスピードを上げなければならない」と述べた。
政府は、電力生産と供給システムを見直すことも明らかにした。「地産地消」方式に転換するとともに、高圧送電網は既存の電力網を最大限に活用する。やむを得ない部分は地下化して苦情を最小限に抑える計画だ。
政府はさらに、家庭で余った太陽光発電による電力を現金で精算する「個人別太陽光所得」制度を推進する。また鬱陵島(ウルルンド)、白ニョン島(ペンニョンド)、楸子島(チュジャド)などの全国87の島を2030年までに再生可能エネルギー100%とする「RE100島」に転換すると発表した。
電力だけでなく、産業用水の確保策についても議論された。政府は、龍仁と湖南の半導体産業団地だけで2034年までに一日当たりさらに200万トン、AIデータセンターなどの先端産業分野では2040年までに一日当たりさらに100万トンの用水が必要になると見込んでいる。これを受け、発電用・農業用などに分かれている既存のダム運用システムを統合して多目的に利用するとともに、光州(クァンジュ)の同福(トンボク)ダムの増設や下水処理水の再利用、海水淡水化の拡大などによって、産業用水と生活用水を確保する計画だ。
この日の会議では、政府の構想が供給拡大に偏っているとの批判の声もあがった。ナラサルリム研究所のイ・サンミン首席研究委員はこの日の会議で「真夏と真冬を除けば、360日ほどは電力が余る」として、「数兆ウォンをかけて発電所を建設しても、設備が遊ぶことになり、そのコストは最終的に電気料金に反映される」と述べた。さらに、発電施設の増設と同様に、電力消費の分散や高効率化といった需要管理政策も必要だと指摘した。
これについて李大統領は「ピーク時間帯を除けば電力が余るのは確か」だとして、「電力が余る時間帯は料金を下げ、不足する時間は上げる方式に変える必要がある」と述べた。李大統領は、住宅用電気料金が産業用よりも低いことについて「物価負担や国民所得の問題でさえなければ、調整が必要」だと述べ、今後の住宅用電気料金の引き上げの可能性を示唆した。ただし、料金を引き上げる場合は「低所得層向けのエネルギーバウチャーの拡充が同時に実現されるべきだ」として、さらなる議論を求めた。