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保守と進歩を行き来し高位公職…「処世の達人」ハン・ドクスの没落

内乱重要任務従事、虚偽公文書作成および行使などの疑いで起訴されたハン・ドクス前首相が21日午後、一審の判決言い渡しに臨むため、ソウル瑞草区のソウル中央地裁に現れた=チェ・ヒョンス記者//ハンギョレ新聞社

 保守政権と進歩政権でいずれも最高位の公職に就き、正統エリート官僚の表象、官運のラスボス、処世の達人と呼ばれた被告人ハン・ドクス(77)の公職人生は、「親衛クーデターに加担した内乱重要任務従事者」で終わる可能性が高まった。

 2022年5月、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の最初の首相にハン・ドクスが起用されると、政界は彼の経験や能力と共に、左右を行き来する巧みな処世術をその背景にあげた。京畿高校とソウル大学経済学科を卒業し、1970年に関税庁の事務官として公職に足を踏み入れたハン前首相は、50年あまりの間に5つの政権で高位の公職に就いた。通商産業部次官(金泳三(キム・ヨンサム)政権)、大統領室経済首席と通商交渉本部長(金大中(キム・デジュン)政権)、首相と経済副首相兼財政経済部長官と国務調整室長(盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権)、駐米大使(李明博(イ・ミョンバク)政権)に続き、公職を離れてから10年ぶりに尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権で再び首相に起用された。官界では高麗と朝鮮にまたがって5人の王に仕えた黄喜(ファン・ヒ)政丞(チョンスン:王の補佐役で、官職の最高位)にも例えられた。公正人事の外見を整えるために湖南(ホナム=全羅道)出身の彼が再び起用されたのだという評価もあったが、かつて金大中政権発足の際に出身地域を「ソウル」から「全州(チョンジュ)」に変えたという批判がついて回った。

 官僚ハン・ドクスの成功街道を支えた無色無臭の処世術は、尹錫悦政権で急激に一方に傾きはじめた。立法、予算、政治懸案で一時は近かった共に民主党などの野党との政治的衝突を辞さず、極右的思考に陥った大統領尹錫悦の立場を忠実に代弁しはじめたのだ。

 権力に対する晩年の無謀な賭けは、彼を下り坂へと導いた。ハン前首相は2024年9月に国会で「戒厳はあってもならないし、あり得ない」と強弁した。肝心の12・3内乱の夜には、大統領による違憲かつ違法な戒厳宣布に積極的に反対するのではなく、「戒厳宣布の必要性と正当性に同意し支持」(一審判決)するという加担の道を選択した。大統領の弾劾局面では大統領権限代行を務めて憲法裁判官の任命を拒否し、大統領弾劾後は自ら大統領の座に就くために大統領選への出馬まで宣言した。

 21日にハン前首相に懲役23年の実刑を言い渡したうえで法廷拘束したソウル中央地裁刑事33部(イ・ジングァン裁判長)は、「約50年間にわたって首相などとして在職し、多数の勲章や褒章を授与されてきた」とし、そのことを減刑理由になるとしつつも、逆に高位の公職のキャリアを理由として重刑は不可避だと述べた。「民主的正当性と責任を間接的に与えられた首相として憲法を守らず、12・3内乱が成功するかもしれないと考えて自身の安全を考えた」というのだ。親衛クーデターは成功するだろう、または憲法裁判所による大統領弾劾審判は棄却されるだろうという機敏な処世感覚が、むしろ彼を没落の道へと導いたのだ。ハン前首相はこの日の一審判決について「謙虚に従うことにする」と述べた。

キム・ナミル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1241015.html韓国語原文入力:2026-01-21 19:43
訳D.K