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尹錫悦前大統領が9月26日、ソウル瑞草区のソウル中央地裁で開かれた特殊公務執行妨害、職権乱用権利行使妨害などの疑惑事件の初公判に出席している＝写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

　内乱首謀容疑の裁判に4カ月ぶりに出席した尹錫悦（ユン・ソクヨル）前大統領が、自身から「国会議員を引きずり出せと指示された」というクァク・チョングン前陸軍特殊戦司令官と激しい法廷攻防を繰り広げた。クァク前司令官は12・3非常戒厳当時の国会への戒厳軍投入が戒厳解除議決を妨げる目的だったと証言した一方、尹前大統領は市民の安全を確保するためだったと反論した。

　ソウル中央地裁刑事25部（チ・グィヨン裁判長）の審理で30日に開かれた尹前大統領の内乱首謀などの容疑事件の第26回公判期日には、クァク前司令官が証人として出席した。「戒厳当時、尹前大統領が国会戒厳解除議決を妨げるために国会議員を引きずり出せと指示した」と一貫して主張してきたクァク前司令官はこの日、特検の尋問過程でも尹前大統領が同様の指示をしたと述べた。

　これに対し、尹前大統領は自ら反対尋問を行い、クァク前司令官に「国会の確保というのは結局、公共秩序のために民間を抑圧せず、秩序維持のために入ったのではないか」と尋ねたが、クァク前司令官は「秩序維持という言葉には納得できない。秩序維持や市民保護という言葉を聞いたことがない」と述べた。

　尹前大統領はさらに「（国会議事堂の）庭で、人々が特殊戦司令部の要員に飛びかかって銃を奪おうとし、（要員たちが病院で）診断書を発行してもらうほど暴行も受けた」とし、「（クァク前司令官が）現場で民間人と衝突しないよう指示したのではないか。そのような指示があったからこそ、特殊戦司令部の要員たちがその指針に従って国会関係者や民間人と衝突しないように逃げたり、胸ぐらをつかまれても何も抵抗しなかったのではないか」とし、「拠点確保もその脈絡に入るのではないか」と再び尋ねた。非常戒厳当時、興奮した市民らがいたため、秩序維持という次元で戒厳軍を投入したという趣旨だ。

　するとクァク前元司令官は「それはまた別の話だ」と明確に線を引いた。クァク前元司令官は戒厳宣布2日前の昨年12月1日、キム・ヨンヒョン元国防部長官から国会などを確保するよう指示を初めて受けたとし、「（国会確保は）出入り口を中心に確保して統制する内容のものだった。最初に（確保の指示を）受けたときは、それについてさらに説明はなかった。キム前長官から『議員を入れないようにしろ』という具体的な指示はなかった」と述べた。その後、尹前大統領との通話で「（戒厳解除の）議決定足数がまだ満たされていない。国会議員を引きずり出せ』という指示を聞いてから、国会確保の目的が国会議員を国会内部から引きずり出すことだと理解したというのがクァク前元司令官の証言の趣旨だ。

　尹前大統領は裁判の最後に再びマイクを握った。尹前大統領はクァク前元司令官に「（12・3非常戒厳令の前に）キム前長官から事前に話を聞いていたとすれば、どんな戒厳令であり、それが本当に（今の体制を）覆すものなのか疑問が生じなかったのか。当時が戦時・交戦（状況での）戒厳令でないことは明らかではないか」とし、「大統領がなぜこれ（戒厳）をしようとするのかを聞いていたら、おそらく『反国家勢力や国内の安全保障を脅かす勢力によって大韓民国の実質的な安保と国の品格が危うくなった』と普通に考えることができたのではないか」と尋ねた。

　尹前大統領はまた「（国会の状況が）世界に中継されているのに、国会本会議場に特殊部隊が入って議員を引きずり出したりすると、いくら独裁者だとしても無事にはいられないだろう」とも述べた。

　これに対しクァク前司令官は「率直に言って私が問い返したいところ」だとし、「もしキム元長官が、今回の非常戒厳は本当に（国会に）入って警告し市民を保護してから短時間で撤退するものだと公論化の場で話していたら、『いや、そこになぜ軍が入るのか。警察を呼べばいいじゃないか』という質問が返ってきたはずだ」と答えた。尹前大統領は内乱のためではなく「警告するための戒厳だった」という主張を繰り返したが、クァク前司令官は「警告のために軍を投入する戒厳はあり得ない」と真っ向から反論したのだ。

　尹前大統領は同日、内乱裁判に4カ月ぶりに出席した。尹前大統領は7月に特殊公務執行妨害などの疑惑で再拘束された後、健康上の理由を挙げて16回連続で裁判に姿を現さなかった。ところが、尹前大統領は同日、チ・グィヨン裁判長に「体力が許す限り出席する。健康状態は良くはないが、とにかくもし私がどうしても出られない状況になったら、あらかじめ申し上げて、その日はスキップしても、できるだけ出席するように最善を尽くす」と述べた。