野党「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表は17日、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領に面会した」ことを公開しつつ、支持層に向けて「私たちも一つになって闘おう」と述べた。今年7月の党大会での「党代表になったら適切な時期に面会する」との約束を実行するためのもの、というのがチャン代表の説明だ。だが、与党「共に民主党」からは「尹錫悦と再び手を結び、政権再奪還を名目に第2のクーデターを夢見ているのではないか」との批判があふれている。
チャン代表は18日のフェイスブックへの投稿で、前日(17日)に尹前大統領に面会したことを明かしつつ、「(尹前大統領は)厳しい状況にあっても聖書の言葉と祈りでしっかりと武装していらした」と語った。そして「左派政権のせいで崩壊する自由大韓民国の再生のため、国民の平安な暮らしを守るため、私たちも一つになって闘おう」と述べた。
尹前大統領との面会は、17日午前11時10分から約10分間にわたって行われたという。先月、尹前大統領との「特別面会」(場所変更接見)を申請したが、特検が追加調査日程を理由に認めなかったため、17日にようやく、透明な仕切りで分けられた空間で「一般面会」のかたちで尹前大統領に会った、というのがチャン代表の説明だ。面会には、尹前大統領の弾劾の不当性を主張して尹前大統領夫妻の釈放を求めてきたキム・ミンス最高委員が同席した。
チャン代表は「党大会で党員にした約束を実行するもの」だとして、拡大解釈を警戒した。しかし党代表への就任後、2カ月近く先送りしてきた尹前大統領との面会をおこなったことについて、党内外では、来年6月の地方選挙を前に、さらに遅れないうちに強硬支持層を結集させようとしている、との解釈が示されている。このところの住宅価格の上昇と、キム・ヒョンジ大統領室第1付属室長に多くの事案処理が集中しすぎているなどの批判で、政府与党から民意が離反しつつあると判断して、強硬支持層の要求にこたえて党支持率を上げようとしているということだ。チャン代表は、内乱加担の疑いが持たれているハン・ドクス前首相に続き、パク・ソンジェ前法務部長官の拘束令状が先日棄却された際にも、「民主党がこのかん内乱というレッテル貼りをしてきたのは、ゴミを積み上げた砂の城だった」と述べて、12・3内乱に対する捜査を「内乱のレッテル貼り」と非難している。
チョン・チョンネ民主党代表は19日のフェイスブックへの投稿で、「尹錫悦との面会は憲法に対する嘲笑であり、民主主義に対する挑戦だ。戦慄の内乱の夜を記憶している国民に対する侮辱」だとし、「だから、国民の敵のような違憲政党である国民の力を解体しようと、国民が両の拳を握りしめているのだ」と批判した。同党のキム・ビョンギ院内代表もこの日の記者懇談会で、「大統領選挙を不服とするにとどまらない、明白な第2の内乱扇動」だと強く非難した。
国民の力の内部からは「党代表が国民の力を奈落に突き落としていることに対して、責任を取るべきだ」(18日のチョン・ソングク議員のフェイスブックへの投稿)という声が相次いでいる。キム・ジェソプ議員は国民の力の議員が集うテレグラムの団体チャットルームで「不動産、関税、安保での無能などで李在明(イ・ジェミョン)政権に亀裂が生じており、メディアも李在明政権の実情に注目しだしている。せっかく野党の時間になっているのに、このような状況で絶対にやるべきことだったのか」と批判した。チャン代表のこのような行動は「極右」、「内乱同調」イメージを強め、中道層の有権者の離脱を招く、との趣旨だ。当選2回のある議員は「(チャン代表は)食べてはならない禁断の果実を食べた」として、「李在明政権の失政による反射利益すらも蹴り飛ばしてしまったも同然だ」と述べた。