「××(中国を卑下する蔑称)、○○(北朝鮮を卑下する蔑称)、××。アカは大韓民国から早く消えろ」
秋夕(チュソク)連休最終日の今月12日午後6時30分。闇が包みはじめた済州市老衡洞(チェジュシ・ノヒョンドン)の街頭に、中国と北朝鮮を蔑視する歌が騒々しく鳴り響いた。大きな太極旗と米国の星条旗を掲げたデモ隊は、約4キロを行進する間中「CCP OUT(中国共産党は出て行け)」を叫びながら、中国たたきに熱を上げた。彼らは2時間にわたり、市内の真ん中で1車線を塞いでデモを繰り広げたが、日曜日の夜だったため深刻な交通渋滞は起きなかった。
この日のデモ隊は、先月29日から実施されている中国人団体観光客のビザなし入国を機として、済州地域の「反中・嫌中感情」を刺激することを狙ったとみられる。いち早く2002年からビザなし制度が実施されている済州地域には、今年だけで129万人の中国人観光客が訪れており、「地域経済の助けになっている」という道民もいる一方で、「副作用が多い」という道民もいる。
警察に集会届を出したのは「自由右派」だ。自由右派は特定の団体というより、「尹アゲイン」を望んでいる極右系勢力とみられる。実際にこの日のデモ隊は「大統領を釈放せよ」、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)は我々が守る」などの極右勢力のスローガンを叫んだ。警察の推計で約60人が参加したこの日のデモを主導していたのは、20~30代と見られる人々だった。
デモ隊を先導していた車には、先日、国民の力のチャン・ドンヒョク代表が鑑賞して波紋を呼んだ映画「建国戦争2」を宣伝する横断幕も掲げられていた。済州道のオ・ヨンフン知事、済州4・3犠牲者遺族会のキム・チャンボム会長らは同日、国会で記者会見を行い、「4・3の歴史を踏みにじり、極右政治の本性をあらわにする国民の力を糾弾する」と述べた。
自由右派は集会を再度行うことを予告している。警察の関係者は「自由右派は(再び)集会を行うと言っているが、まだ集会届は提出されていない」とし、「集会は届け出制なので、デモ隊が車道で行進するとしても警察にはやめさせる方法がない」と説明した。