ウェスティングハウスとの「奴隷協定」が今後の韓国型原発の輸出の障害物になるという国会議員の指摘に対して、韓国水力原子力のファン・ジュホ社長は「輸出の障害物というより、新たに突破していくべき道の方向性を定めたもの」だとの立場を明らかにした。新たに開発する大型原発や小型モジュール原発などでウェスティングハウスの独自の技術を使用しなければ、両社の協定の影響から自然に脱せられる、との論理だ。
ファン・ジュホ社長は8日の国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(産資中企委)の全体会議に出席し、「技術の自立について誤解の余地があったことは申し訳ない」と述べつつ、新たな原発技術の開発で自由な原発輸出の活路を開くべきだとする考えを表明した。
この日の会議では、韓水原・韓国電力とウェスティングハウスとの輸出協定についての質問が相次いだ。先月、韓国の原発輸出時にウェスティングハウスに1基当たり1兆ウォン(約1060億円)以上の代価を支払うとする協定の内容が物議を醸したうえ、先日には協定の効力が事実上永久に維持されることが明らかになり、「終身奴隷契約」だとの批判が強まった。
前例なき「不公正・終身協定」の解約条件を祖国革新党のソ・ワンジン議員に問われ、ファン社長は「(企業間)協定であるため、互いに合意すれば解約は可能だ」としながらも、「50年というのは相手(ウェスティングハウス)が主張する精神的勝利だ。APR1400モデルはすでに次のモデルに移行する段階なので、(新たなモデルに)ウェスティングハウスの技術が使われていなければ協定は関係ない」と強調した。「すでに新型大型炉の開発を開始しており、開発中の小型モジュール原発(SMR)も、設計開始時から特許回避のために専門のチームを設置している」ため、新モデルはウェスティングハウスとの協定とは関係なしに自由に輸出できるというのだ。
またキム・ジョングァン産業通商資源部長官は、ウェスティングハウスとの協定に対する調査の結果を「再来週ごろ(大統領室に)報告する計画」だと明かした。大統領室は先月19日、韓水原のチェコの原発受注契約の過程でウェスティングハウスと不利な契約を結んだ背景についての真相調査を産業部に指示している。不公正な条件を解消するためにウェスティングハウスと再交渉する意志があるかについて、キム長官は「双方の企業が商業的契約に基づいた企業間協定」だとして、「状況に変化が生じれば、再交渉は可能だと考える」と述べた。
この日の会議では、先月任期が終了したファン社長の去就についても問われた。ウェスティングハウスとの「不公正契約」を主導したファン社長が居座っているのは不適切だと共に民主党のキム・ウォンイ議員に指摘され、ファン社長は「適切な時点で(辞任を)検討する」と答えた。
一方、エネルギー政策を産業部から切り離して環境部に移管するという政府の組織改編の方向性について、キム長官は産業部代表として政府に「反対意見をはっきりと提示した」と述べた。エネルギー政策と産業政策が分離されれば、国の産業競争力が弱まる恐れがあるとの野党の指摘に対して、キム長官は「残念に思う気持ちと懸念が強いのは確か」だとして、「ただでさえ厳しい産業競争力がさらに悪化するのではないかという懸念が強いことも認識している」と述べた。ただし「気候変動に対応するとともに、再生可能エネルギーを増やすことも非常に重要だ」として、「原発輸出と天然ガスの部分は産業部が担うことになっているため、産業とエネルギーが有機的につながるように気を配る」と述べた。