韓国水力原子力(韓水原)と韓国電力が原発輸出の際、米国ウェスティングハウスに1基あたり1兆ウォン以上の対価を支払うという内容のため「奴隷協定」だという論議を引き起こした協定が、事実上永久的な効力を持つものであることが確認された。有効期間自体は50年だが、ウェスティングハウスが望む限り、「自動延長」されるという条件が付いているためだ。韓水原と韓国電力側の問題により協定が解除される場合、原発輸出の際にウェスティングハウスの技術を使用可能な権利(技術実施権)を付与されないだけでなく、関連の異議や紛争さえも提起できないとする条件も追加で確認された。
5日にハンギョレが祖国革新党のソ・ワンジン議員を通じて確認した「韓国水力原子力・韓国電力‐ウェスティングハウス間の技術使用協定」の内容によると、当事者はこの協定が「発効日から50年間効力を維持し、その後、双方が終了することに合意しない限り、5年ずつ自動延長」することに合意したことが分かった。韓水原と韓国電力が原発輸出の際に、ウェスティングハウスに1基あたり8億2500万ドル(約1兆1500億ウォン、1200億円)規模の対価を支払うという内容が含まれるこの協定の有効期間は、当初は50年と言われていた。しかし、さらに詳しく調べてみると、対価を受ける側であるウェスティングハウスが終了を望まない限り、協定は永久に効力を持つことが可能であるという事実が判明した。
ハンギョレによる取材の結果、ウェスティングハウスは、当初から協定の永久効力を主張していたことがわかった。協定の状況をよく知るある関係者はハンギョレに「有効期間がないことについて、(韓国電力と韓水原の)取締役会では反発があり、追加協議の過程で50年の有効期間を入れた後、『目くらましでごまかす』手法で自動延長の条件を加えた」と明らかにした。
これ以外にも、ウェスティングハウスにとってのみ一方的に有利な「奴隷協定」の性格を示す別の条項も確認された。一方が重大な義務違反をした場合、相手方は協定を解除できるが、韓水原と韓国電力側の違反でウェスティングハウスが協定を終了させる場合のみ、「韓水原と韓国電力は、原発輸出のためにウェスティングハウスの技術実施権が必要であることについて、異議および紛争を提起することはできない」とする内容が明記されているのだ。「韓国型原発の輸出のためのウェスティングハウスの技術実施権を保有できず、許諾を受けることもできない」という内容も、これに含まれている。
この協定の主な内容は、韓水原と韓国電力がウェスティングハウスの技術を含む原発を輸出する場合、ウェスティングハウスから技術実施権(再実施権含む)を与えられ、その対価としてウェスティングハウスに1基あたり8億2500万ドル規模の技術料および設計・部品調達・施工(EPC)の業務を提供するというものだ。さらに、ウェスティングハウスは一部の国(チェコ、サウジ、アラブ首長国連邦、トルコ、ヨルダンおよび中央・東南アジア、アフリカ、南米)についてのみ技術実施権を許容し、韓水原と韓国電力は、北米や欧州などの最重要の地域では受注競争に参加する機会さえ奪われた。それ以外の国に対する技術実施権付与の可否が合意に至らない場合、「ウェスティングハウスが最終決定する」という条件も含まれている。
このように、韓水原と韓国電力が協定の有効期間を事実上永久に設定することに同意したのは、これまで「独自技術」を強調して推進してきた大型原発の独自輸出自体をあきらめたものだと読み取ることができる。実際、ウェスティングハウスとの交渉後、韓水原の社長が「欧州市場への大型原発の輸出を断念する」という趣旨の発言をしたこともある。韓水原のファン・ジュホ社長は5月、チェコ現地で開かれた記者懇談会で「(欧州市場は)戦場だ。法律的に非常に複雑で、入札を勝ち抜くことは難しい。大型原発の代わりに、小型モジュール原子炉(SMR)で勝ち抜かなければならない」と述べた。協定では、出力170MWe以下の「韓国型」SMRは、ウェスティングハウスに対価を支払わなければならない「商業条件」の例外とされているが、ウェスティングハウスの技術が含まれていないことを、ウェスティングハウスから確認を受けなければならない点は、大型原発と同じだ。「ウェスティングハウスの技術が含まれていないことを明確に確認するまでは、拘束力のある提案をしたり供給したりすることはできない」とも注記されている。
専門家らは、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「チェコ原発輸出」は、政治的な実績づくりのために世界の原子力史上前例のない技術ライセンスの従属契約が結ばれたものだと指摘する。エネルギー転換フォーラムのソク・グァンフン専門委員は「世界のあらゆる種類の技術ライセンス協定にも、効力期間が永久的などという事例は見当たらない」として、「技術権者に異議を提起できず、一方的な決定に従うという条項まで含まれているのは、協定ではなく『懲罰』契約とみなすべきだ」と述べた。
ソ・ワンジン議員は「経済・政治懸案を後回しにしてチェコにまで飛んでいき、『原発セールス』を行った尹前大統領をはじめ、受注の最大の功績者は大統領だと褒めたたえた産業通商資源部のアン・ドックン前長官、韓水原のファン・ジュホ社長のいずれもが、屈辱的な協定に関与した責任者」だとして、徹底した真相究明を要求した。