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韓水原のチェコ原発契約、本案訴訟と現地総選挙で無期限延期の可能性も

登録:2025-05-08 06:36 修正:2025-05-08 07:13
チェコ電力公社、「仮処分決定に不服申し立て」方針を発表 
今後の日程は不透明…10月の総選挙など影響及ぼす要因多く 
「斜陽産業の原発市場、泥沼紛争の原因になり得る」
裁判所の「契約中止」仮処分決定で、7日に予定されていたチェコ政府と韓国水力原子力のドコバニ原発の最終契約式が無期限延期された。写真はチェコのドコバニ原発の全景=チェコ電力公社提供//ハンギョレ新聞社

 チェコの地方裁判所が「契約中止」の仮処分決定でブレーキをかけたことで、チェコ政府と韓国水力原子力(韓水原)が当初7日(現地時間)に開く予定だった新規原発建設の契約式が突如中止になった。チェコ側は仮処分決定に不服を申し立てる方針を明らかにしたが、入札競争者のフランス電力公社(EDF)が起こした本案訴訟や、10月のチェコ総選挙などを考えると、最終契約が無期限に延期される可能性があるという懸念が高まっている。

 契約式に参加するためチェコに向かう途中で仮処分決定を聞いた産業通商資源部のアン・ドックン長官は、6日のプラハ到着直後に懇談会を開き、「やむを得ず、契約を延期せざるを得ない」という公式な立場を明らかにした。契約式は見送られたが、両国は7日、当初予定されていた他の日程を進めながら協力を続けるという立場を確認した。これに先立ち、チェコ電力公社のダニエル・ベネシ社長は「来週ごろ、行政裁判所に仮処分決定に対する不服申し立てを行う」とし、「(受け入れられない)可能性については話したくない」と述べた。チェコ側を代表し、「契約延期について韓国側に遺憾」の意も表明した。

 この日、両国がいくつかの了解覚書などに署名した後に開いた共同記者会見で、チェコのペトル・フィアラ首相は「早い時期にライバル会社の訴訟提起が棄却されることを期待する」とし、原発をはじめとする多様な分野で「韓国とチェコが戦略的パートナーシップの拡大に多くの関心を持っていることを再確認した」と述べた。

 フランス電力公社が起こした訴訟が進められている中、政府の対応が安易だったのではないかという指摘に対し、アン長官は「チェコの経済競争保護局(UOHS)で2度もフランス電力公社の異議申し立てを棄却し、チェコ政府も問題にならないとみて契約日程を決めた」とし、「チェコ電力公社が法律検討(仮処分に対する不服申し立て)をしているため、チェコ政府でも(契約が)過度に遅れないようすると思う」と釈明した。ベネシ社長は「私たちは円滑な進行のために(契約式の)日程を決めたが、実際、今回の裁判所の決定は非常に可能性の低い措置だった」と語った。

昨年9月、尹錫悦前大統領(左)とペトル・パベル大統領がチェコ現地で原発受注関連の共同記者会見を行っている様子=大統領室共同写真取材団//ハンギョレ新聞社

 ただし、仮処分だけでなく本案訴訟の手続きも残っており、契約時期は依然として不透明だ。ベネシ社長は「どの程度遅れるかがカギだが、数カ月の遅延の場合、数億コルナの損害が発生する」とし、これをフランス電力公社側に請求すると述べた。アン長官も「何日になるか、それとも何カ月になるか、予断できない」と明らかにした。この日、チェコのあるメディアは「チェコ高等裁判所が地方裁判所の仮処分決定を取り消さない限り、本案訴訟と(仮処分に対する)抗告手続きなどを考えると、少なくともさらに数カ月遅れる可能性が高い」という見通しを示した。フランス電力公社が欧州委員会の競争総局に同じ内容の異議申し立てを行ったことも危険要素として残っている。

 10月に予定されたチェコ総選挙の影響もあるとみられる。最近の世論調査で圧倒的優位を維持している野党の「ANO」は「ドコバニ原発の全体事業費4000億コルナ(約2兆6700億円)のうち半分以上が自国企業に戻ってくる保障がない限り、契約は不可能だ」という立場を固守しており、政権が変わった場合、さらなる交渉が進められる可能性もあるとみられている。原発業界では、チェコ電力公社が2014年にテメリン地域に新規原発2基を建設するための入札を進めたが、突然取り消した過去に注目している。当時入札で米国のウェスティングハウスとフランスのアレバなどが競争を繰り広げたが、チェコ側は突然事業中止を発表した。これについて、政権交代が影響を及ぼしたという分析が出ている。

 契約自体が覆される可能性は少ないとしても、遅延によって増える工事費は問題になりかねない。この場合、増える負担を誰が抱え込むかが問題だ。匿名のあるエネルギー業界関係者は「今年3月の本契約を基準に協力企業などから見積書を取って最終入札額を書いたが、1年以上契約が遅れたら部品や人件費などが増加し、工事費の増額要求が避けられないだろう」とハンギョレに語った。過去、アラブ首長国連邦の原発輸出事業を進める際も、途中で工事費が増加したが、これをめぐり現在韓国電力と韓水原の間で紛争が進められている。

 フランス電力公社が全面的に行っている訴訟戦が、こんにちの原発産業がどれほど衰退の道に入ったかを示しているという指摘もある。「エネルギー転換フォーラム」のソク・クァンフン専門委員は「中国とロシア、韓国を除き、主な資本主義国家で原発建設が事実上中止されている状況で、チェコのようなごく一部国家のパイを取るために米国や中国、ロシア、韓国、フランスなどが死活をかけて競争を繰り広げた結果が、泥沼紛争にまでつながっている」とハンギョレに指摘した。さらに「世界のエネルギー市場が風力・太陽光のような再生可能エネルギーに再編されている状況で、市場成長性が不透明な大型原発受注に大統領まで乗り出して国力を無駄に使う必要はない」と主張した。

プラハ/産業通商資源部共同取材団、オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1196278.html韓国語原文入力:2025-05-07 22:47
訳H.J

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