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金正恩委員長と韓国国会議長、顔を合わせるか…中国戦勝節「席配置の外交学」

登録:2025-08-29 06:44 修正:2025-08-30 08:08
金正恩委員長とウ・ウォンシク国会議長//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が来月3日、「中国抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利(戦勝節)」80周年記念軍事パレードに出席することにした。国際多国間外交のデビュー舞台として、これまで多少遠ざかったものの伝統的な血盟関係にある中国を選んだわけだ。北朝鮮にとっては「唯一領導体系」を構築した金委員長の「外交的地位」が写真と映像を通じて世界的に確認される場でもある。

2015年9月3日、朴槿恵大統領が中国・北京の天安門城楼の上で習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と共に中国人民解放軍の軍事パレードを観覧している=北京/AFP・聯合ニュース

 北朝鮮当局はもちろん、朝中ロの密着を注視している韓米日は、北京の天安門城楼に設置される軍事パレードの観覧台の座席配置に注目している。習近平主席を中心に、誰が、どの席に配置されるかが強い外交的象徴性を帯びているためだ。今回の80周年記念行事にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領をはじめ金正恩委員長、イランやベトナム、ラオス、インドネシア、マレーシア、パキスタン、ネパール、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、トルクメニスタン、ベラルーシなどの首脳が出席する予定だ。韓国からはウ・ウォンシク国会議長が出席する。米国や英国、フランスなどからも要人たちが出席者名簿に名を連ねている。

 10年前の2015年9月3日に開かれた戦勝節70周年記念軍事パレードの座席配置も大きな関心を集めた。韓国の首脳が一時は敵性国だった中国とロシアの首脳と並んで立ち、中国人民解放軍の武力を誇示する大規模な軍事パレードを90分間見守ったからだ。当時の大統領は朴槿恵(パク・クネ)だった。朴槿恵大統領は米国との関係悪化を承知のうえで中国を訪問し、軍事パレードに出席した。それだけに、中国が見せる外交的待遇と誠意に関心が集まった。

 天安門広場を見下ろす軍事パレードの観覧台で、外交慣例上最高の上席である習近平主席の右隣はウラジーミル・プーチン大統領が占めた。朴槿恵大統領はプーチン大統領の隣りの席に配置された。伝統的な友好国であるロシアとの関係を考慮しながらも、韓国大統領にも特別な礼遇をしたのだ。1954年、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席が、中国の毛沢東国家主席のすぐそばに立って、中国建国5周年記念の軍事パレードを見守ったまさにその場所だった。中国は、首脳が行事の場所などに移動する時や歓迎夕食会で、習近平の右側にプーチン大統領、左側に朴槿恵大統領を配置するなど、手厚い外交的配慮を示した。韓中友好的な雰囲気は、翌年に朴槿恵政権がTHAAD(高高度防衛ミサイル)の配置を決め、中国が経済報復をしたことで崩れた。

北朝鮮の金日成元主席(右から2番目)が1954年10月1日、中国北京の天安門城楼の上で、中国の毛沢東元国家主席(右)と軍事パレードを観覧している=北京/AFP・聯合ニュース

 当時、戦勝節には北朝鮮代表団長としてチェ・リョンヘ北朝鮮労働党書記が出席した。軍事パレードの際、チェ書記の席は習主席やプーチン大統領、朴槿恵大統領などが位置した列の右端だった。結果的に朴槿恵大統領とチェ・リョンヘ書記の動線は重ならず、二人が会うこともなかった。

 戦勝節80周年記念軍事パレードなどで、ウ・ウォンシク国会議長の席がどこに配置されるかも関心を集めている。パレード、記念撮影、夕食会の時の位置と動線、待機場所によっては、金正恩委員長と顔を合わせる可能性もある。南北関係を「敵対的二国」と規定した北朝鮮の立場を中国が考慮し、動線を「統制」したとしても、多国間外交の特性からして「偶然の出会い」まで防ぐことは難しいためだ。

キム・ナミル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1215770.html韓国語原文入力: 2025-08-28 17:01
訳H.J

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