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在韓米軍司令官「韓米同盟、75年前とは異なる…中ロの動きも危険」

登録:2025-08-11 08:46 修正:2025-08-11 09:13
今月7日、京畿道平沢市のキャンプ・ハンフリーズで、米軍のヘリコプター「チヌーク」(左)と「ブラックホーク」が移動している/聯合ニュース

 在韓米軍のザビエル・ブランソン司令官は、在韓米軍の戦略的柔軟性の拡大をはじめとする「韓米同盟の現代化」の背景として、「朝鮮戦争以降の75年間で変化した北東アジアの安保環境」をあげた。北朝鮮だけでなく中国やロシアなどの近隣諸国の脅威が膨らんでいるだけに、在韓米軍を北朝鮮の抑止のためだけのものとせず、インド太平洋地域全般にわたり対応できるよう、兵力を運用しうるという意味だと読み取れる。

 ブランソン司令官は今月8日、京畿道平沢市(ピョンテクシ)の在韓米軍ハンフリーズ基地で行われた国防部出入記者団とのインタビューで、「韓米同盟の現代化」の背景として「北東アジアの脈絡が変化した」ことをあげた。「韓国は75年前とは違い、米国も75年前に比べて変化している」として、「同盟の現代化は、変化した2つの偉大な国と世の中が変わったという認識を反映する」ものだと語った。

在韓米軍のザビエル・ブランソン司令官が8日、京畿道平沢市のキャンプ・ハンフリーズで記者懇談会をおこなっている=在韓米軍提供//ハンギョレ新聞社

 ブランソン司令官が繰り返し述べた「変化」とは、中国の台頭と、北朝鮮、中国、ロシアが徐々に緊密に協力しつつある最近の北東アジア地政学の変化を指す。同氏はこれについて、「韓米相互防衛条約などの2国間の文書では『敵』を具体的に明示しない」としつつも、「私たちの北には核武装した敵対勢力がおり、ロシアの北朝鮮への関与が増加しており、中国も自由で開かれたインド太平洋地域を脅かしている」と述べた。続けて「北朝鮮の脅威をみると、ロシアが連携している。両国は兵器と技術を交換している。だとすればロシアも脅威」だとして、「中国海軍は済州の南を回って北上し、ロシア艦隊と合流してウラジオストクへと向かった。この両国があのように動くのは非常に危険だ」と補足した。

 同氏はこの過程で、同盟の現代化は在韓米軍の戦略的柔軟性を確保する過程だということを隠さなかった。ブランソン司令官は「(米国が)韓国に求めているのは、北朝鮮に対するさらに強力な態勢を整えよということ」だとして、「そうしてこそ私たちは同盟を現代化することで他の仕事もできるように(戦略的)柔軟性が持てる」と述べた。韓国に北朝鮮の脅威に対する主導的な役割を担わせるとともに、在韓米軍を「朝鮮半島はり付き軍」から脱却させることで、域内で自由に動けるようにする、との趣旨だ。ブランソン司令官は戦略的柔軟性について、「一カ所に固定されているのは軍事的に実用性が落ちる」とし、「私たちが一つの任務以外の任務も消化できれば問題はない」と断言した。

 この過程であらわれる在韓米軍の変化については、「数」ではなく「力量」を強調した。東北アジアの変化に対応して在韓米軍の兵力が減っても、先端戦力の補強などによって補える、という趣旨の説明だ。ブランソン司令官は「1機の第5世代戦闘機(F-35)が2機の第4世代戦闘機(KF-16)を代替することもありうる」と述べて、今年4月にイスラエルの防空網を支援するために中東に移動した在韓米軍のパトリオット発射機の空白を第5世代戦闘機の在韓米軍への配備で埋めた例をあげた。

 同氏はまた「朝鮮半島の脅威の変化への対応に必要な任務を遂行しうる新たな能力を考えている」とし、「例えば領域作戦部隊(MDTF)や、特にその配下の多領域効果大隊(MDEB)、第5世代戦闘機などを朝鮮半島に配備することを考える」とも述べた。MDTFは米陸軍が中国、ロシアの脅威に対応するために地上、空中、海上、宇宙、サイバーなどのあらゆる領域で作戦を遂行するために創設した旅団級部隊で、米国はすでにフィリピンなどに配備して中国けん制に用いている。

 また「在韓米軍の古い偵察機が退役すれば、空中監視偵察資産をさらに配備しようと考えている」として、「情報収集および監視偵察の面で、宇宙の利点を最大限活用したい」と述べた。同氏は「軍事境界線を宇宙から見ているが、米国の国家レベルの情報収集機関の支援を受けるとともに、韓国の国家地理情報局(NGA)に当たる機関と協力し、可視性の向上に努めている」とも強調した。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1212547.html韓国語原文入力:2025-08-10 22:09
訳D.K

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