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北朝鮮のキム副部長「韓国と向き合うことはない」…李在明政権に初の公式反応

登録:2025-07-28 10:22 修正:2025-07-28 10:53
「敵対的な二つの国家関係」認識の延長線 
「李在明政権50日、先任者と変わらない」
キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委副部長=朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮のキム・ヨジョン朝鮮労働党中央委副部長は28日、「韓国と向き合って座ることも、議論する問題もないという公式な立場を改めて明確にする」と明らかにした。6月4日の李在明(イ・ジェミョン)政権発足から54日目にして、北朝鮮側から初めて正式に公開された反応だ。ひとまずは否定的なものといえる。

 キム・ヨジョン副部長は、朝鮮中央通信が発表した「談話」で、「李在明政権がいくら同族の真似をし、あらゆる正しい行いをするかのように騒ぎ立てても、韓国に対するわが国の対敵認識に変わりはなく、朝韓関係の性格を根本的に変えた歴史の時計を巻き戻すことはできない」として、このように述べた。キム副部長はさらに「朝韓関係は同族という概念の時間帯から、すでに完全に元に戻すことができないくらいに抜け出した」とも述べた。

 これは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長の「北南関係は最も敵対的な二つの国家」関係(2024年12月、労働党中央委第8期第9次全員会議)という認識の再確認だ。さらに北朝鮮は、金正恩総書記の「統一」、「和解」、「同族」という概念自体を完全に除去しなければならないという指針(2024年1月15日、最高人民会議第14期第10回会議)以降、民族関係を念頭に置いた従来の「北南関係」という表現の代わりに、両国関係を意味する「朝韓関係」(北朝鮮と韓国の関係)という用語を使い始めたが、キム副部長の談話も「朝韓関係」を使っている。

 キム副部長は談話で、南北関係が「敵対的な二つの国家関係」という原則論の再確認を越え、李在明政権が「吸収統一」と「対決企図」を捨てていないという否定的な認識を示した。

 チョン・ドンヨン統一部長官が25日の就任演説で「統一部正常化」を強調した事実に対しては、「はっきりと吸収統一という亡霊に精神的な捕虜となった韓国の政客の本性は決して変わらないということを改めて確認できる」と低い評価を下した。チョン長官の「統一部の正常化」とは、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時代における統一部の交流協力および会談担当組織の事実上の解体と81人の人員削減を指摘し、この原状回復の意志を強調したものだが、キム副部長は「統一」という単語を問題視した。キム副部長は統一部を「朝鮮半島に国家対国家間の関係が永久固着した現実とともに解体されなければならない統一部」だと主張した。

 キム副部長はさらに、「李在明政権の50日余りを見ても、人前では朝鮮半島の緊張緩和や朝韓関係の改善など、耳障りのよい長説を並べ立てたが、韓米同盟に対する盲信やわれわれとの対決企図は先任者と少しも変わらない」と主張した。また、「世の中が目撃することになるだろうが、再びわが国の南側の国境の向こうでは、侵略を見据えた大規模な合同軍事演習の連続的な強行で硝煙日の消える日がないだろう」とも述べた。キム副部長が韓米合同軍事演習を特定して問題視した点に留意する必要がある。

 ただしキム副部長は「朝鮮に向けた拡声器放送中止、ビラ散布中止、個別の韓国人の朝鮮観光許容」などを一つひとつ取り上げ「李在明政権の発足直後から韓国がそれなりに傾けている『誠意ある努力』の細部」と描写した。さらに、「新任の統一部長官チョン・ドンヨン」は(25日の就任演説で)「崩れた南北関係の復元について述べ、強対強の時間を終えて善対善、和解と協力の時間を開いていくことを提案した」とも補足した。李在明政権が6月4日の発足以降取ってきた対北朝鮮措置を、間接引用符をつけて自身の考えではないことを強調する形式は取ったものの、「誠意ある努力」と表現した部分に注目する必要がある。

 キム副部長は李在明政権のこのような措置を「しなければ良かったことを可逆的にやり直そうとするに過ぎない」とし「評価されるほどのことではない」と低く評価した。悪くはないが「高い点数」を与えるほどではないという主張だ。

 キム副部長は続けて「これまで一方的にわが国を主敵と宣言し、極端な対決の空気を鼓吹してきた韓国が、今になって自ら招いたすべての結果を感傷的ないくつかの言葉で覆すことができると期待したならば、これほどとんでもない誤算はないだろう」と主張した。信頼回復には多くの時間が必要だという意味にもとれる内容だ。

 キム副部長は、韓国の一部メディアで今年10月末に慶州(キョンジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に、韓国政府が金正恩総書記をオブザーバーの資格で招待する可能性もあるという報道が出ていることについて、「空しい妄想」としてひとまず一線を引いた。

 キム副部長が李在明政権の一連の対北朝鮮措置について「可逆的」であり「感傷的ないくつかの言葉」と低く評価したのは、逆説的に「不可逆的な重要行為」には異なる反応を示すこともありうるという余地を残したともいえる。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1210240.html韓国語原文入力:2025-07-28 09:30
訳C.M

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