韓国統一部が、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時代には事実上遮られていた民間団体の対北朝鮮接触を許可している。朝鮮半島の緊張緩和と南北関係の復元を北朝鮮政策の最優先に据えた李在明(イ・ジェミョン)政権の方針によって、民間団体を通じて北朝鮮との対話の扉を開くという意志とみられる。
統一部は同日、「民間レベルの南北疎通チャンネルの復旧および対話協力を通じた朝鮮半島の平和ムードづくりなどのため、李在明政権発足後、民間6団体の北朝鮮住民接触申請を受理した」と発表した。イム・ジョンソク新千年民主党(共に民主党の前身)元議員が理事長を務める南北経済文化協力財団(経文協)をはじめとする諸団体が、社会文化交流(3件)、人道支援(2件)、年次国際会議出席(1件)などの目的で北朝鮮住民と接触することの承認を受けた。統一部は「今後も北朝鮮住民接触申請は南北交流協力に関する法律に基づいて検討していく予定」と付け加えた。
南北交流協力法は、北朝鮮住民に接触するためには統一部長官にあらかじめ申請するよう定めており、南北交流と協力を損なう恐れがあるか国家の安全保障を害する明白な懸念がある場合にのみ、申請の受理を拒否できるようにしている。
民間団体の対北朝鮮接触が承認されたのは、昨年8月の北朝鮮の大規模水害以来初めて。尹錫悦政権はこの他には「北朝鮮の挑発と南北関係の悪化」を理由に、2023年下半期から民間団体の北朝鮮接触申請を事実上承認しなかった。
南北関係の復元を対北朝鮮政策の最優先課題に掲げた李在明政権の発足を受け、民間団体や宗教界などは、相次いで統一部に北朝鮮住民接触申請書を提出している。南北協力事業を望む団体・企業・個人を繋げることを目標に2004年に創立した経文協も、4日に統一部にオンラインで文化交流を目的とした北朝鮮住民接触申請書を提出しており、前日、統一部から承認を受けた。
経文協の関係者は「統一部の承認を受け、我々が持っていた対話チャンネルの復旧に乗り出す」とし、「今後、南北が互いを認め、発展する事業モデルと実践できる事業を南北双方に積極的に提案し、行動する」と明らかにした。