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歴史問題と懸案を分けて考える「ツートラック」…李大統領流の実用対日外交の第一歩

登録:2025-06-19 06:24 修正:2025-06-19 07:41
李在明大統領、石破首相と初の首脳会談
李在明大統領が17日(現地時間)、カナダ・アルバータ州のカナナスキスの主要7カ首脳会議(G7サミット)の会場で、日本の石破茂首相と韓日首脳会談を行っている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 カナダのカナナスキスで17日(現地時間)に就任後初の韓日首脳会談に臨んだ李在明(イ・ジェミョン)大統領のアプローチは明確だった。歴史問題を懸案議論と結び付けないという「ツートラック」の原則だ。つまり「歴史問題は原則を守りながら漸進的解決を図る一方、通商交渉と地政学的危機など両国が直面した懸案においては積極的に協力していく」ということだ。このような原則は「小さな違いを乗り越えて、様々な面で互いに有益な関係へと発展していくことを期待する」という李大統領の冒頭発言にも反映されている。

 30分余り続いたこの日の首脳会談で、李大統領は「国際通商環境や国際関係における困難が増えており、近い関係、また補完的関係にある韓国と日本が多くの分野で協力すれば、互いにとって大きな力になるだろう」とし、厳しい国際状況で韓日の協力が国益に資するという点を再び強調した。「激変する国際情勢の中で、両国は共に対応策を模索すべき重要なパートナー」と述べた16日の韓日国交正常化60周年記念行事のビデオメッセージと同じ流れだ。

 その後の非公開会談でも、歴史問題は中心議題に上がらなかったものとみられる。大統領室関係者は「過去の問題はうまく管理していくと共に、協力をさらに深め未来指向的関係を築いていこうという話が出た」とし、「過去を覆い隠そうというのではなく、過去の問題は議論をするものの、それが現在と未来の協力を阻害しないよう、うまく管理するというのが韓国の立場」だと説明した。就任前から標榜していた「国益中心の実用外交」に沿ったアプローチだ。同日、両首脳は今年の国交正常化60周年を迎え、より堅固で成熟した韓日関係の基盤を作っていくことにする一方、相互尊重と信頼に基づいた協力関係とシャトル外交再開の意志も再確認した。

 両首脳が「韓米日連携」という前政権時代のコンセンサスを再確認したことも目を引く。大統領室が明らかにした「北朝鮮問題を含む地域の地政学的危機に対応していくため、韓米日協力を引き続き維持・発展させ、韓日間でも協力を深めることにした」という両首脳の合意内容が代表的な例だ。

 国民大学日本学科のイ・ウォンドク教授は「韓日両国の利害関係で戦略的接点が大きくなり、協力の必要性とそれに対する支持世論も高まった。このような状況を反映し、韓日関係の安定化に向けた第一歩をうまく踏み出した首脳会談」だと評価した。一挙に解決する妙手がない歴史問題は戦略的に管理する一方、安全保障、経済、文化交流などで必要な協力を強化していくという意志がよく表現されたということだ。イ教授は「日本政府が李大統領の対日認識に持っていた不安と疑問も、今回の会談でかなり払拭されるだろう」と語った。

パク・ミンヒ先任記者、カルガリー/オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1203516.html韓国語原文入力: 2025-06-18 22:13
訳H.J

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