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「人種差別犯罪には加重処罰を…刑法改正すべき」…国連、韓国に勧告

登録:2025-06-10 06:38 修正:2025-06-10 07:39
国連人種差別撤廃委、20項目の最終見解を表明
9日午後、ソウル中区の国家人権委員会で第12回全員委員会が開かれている=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 大韓民国政府が人種差別を定義・禁止する包括的な法律を依然として制定していないことに対し、国連人種差別撤廃委員会(CERD・人種差別撤廃委)が深い遺憾を表明したことが分かった。人種差別撤廃委はムスリムのコミュニティに対するヘイトスピーチ(憎悪発言)など実際の事例を挙げ、人種主義的発言と暴力を明示的に犯罪化する法規定がない韓国の現実を批判した。

 韓国の国家人権委員会(人権委)は9日午後に開かれた第12回全員委員会で、このような内容の「人種差別撤廃委による第20・21・22回大韓民国国家報告書の審議と最終見解の報告」案件を処理した。これに先立ち、人種差別撤廃委はスイスのジュネーブで4月22日から5月9日にかけて、大韓民国の「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(人種差別撤廃条約)に関する国家報告書の審議を行い、韓国人権委の代表と市民社会参加団の意見を聴取した後、最終意見を出した。人種差別撤廃条約は、国内法の規定外となる移住労働者や移住女性および児童、難民の人権保護のための国際条約だ。

 人種差別撤廃委が提示した20の懸念事項と勧告事項を中心に、人権委がまとめた最終見解の要約表によると、人種差別撤廃委は「関連条約が司法手続きでほとんど援用されず、人種差別の定義および禁止する内容が法令に採択されていない」とし、「国内の裁判所によって条約が実際に適用された具体的な事例を次回の定期報告書に含めることと、条約第1条に従い、公共および民間領域の全てにおいて直接的および間接的な人種差別を定義・禁止する包括的法律の採択を加速化すること」を勧告した。

 また、ヘイトスピーチおよびヘイトクライム(憎悪犯罪)と関連し、「条約第1条に規定されたすべての人種差別の根拠を明示的に言及し、刑事犯罪に関して人種主義的な動機を加重処罰の理由に含むよう、刑法改正を速やかに進めるべき」だとし、「人種主義的ヘイトスピーチとヘイトクライムに対する明示的な犯罪化を含む包括的な法律を採択すべきだ」と勧告した。人種差別撤廃委はまた、大邱市(テグシ)でモスク建設反対を巡りムスリムのコミュニティに対するヘイトスピーチと、未登録移住労働者に対する監禁および脅迫・虐待動画をインターネットに投稿した集団に対する報告に注目すると述べた。

 移住労働者の権利に対する勧告も続いた。人種差別撤廃委は「熟練および非熟練労働者いずれも、家族が再び一緒に暮らせるようにすること、家族の同伴と家族に対する労働市場への接近を認めること」を、未登録移住民については「取り締まりが未登録移住民の負傷および死亡につながらないよう必要なあらゆる措置、物理力の使用に関する国際基準などに関する適切な訓練」の履行を求めた。この他にも、難民申請者などが就業の許可、必須医療などに効果的に接近できるよう国内法における政策および慣行を修正することと、帰還した結婚移住女性とその子どもたちの規模と状況を調査し、彼らの権利と地位を保護するための必要な措置を取ることなども勧告した。

 この日、全員委から人権委の代表としてジュネーブを訪れたウォン・ミンギョン委員は「人種差別撤廃委の最終見解が政府の各省庁できちんと履行されるように促さなければならないのに、人権委の内部でその意志が見られないことが残念だ」と語った。

 人権委は3月4日と7日、24日に開かれた第4・5・6回全員委で「人種差別撤廃条約、大韓民国の第20・21・22回政府報告書の審議に関する人権委の独立報告書の件」を審議した後、勧告提案を確定し、人種差別撤廃委に提出した。しかし、審議の過程で人権委の事務処が提示した国家主導の人種差別撤廃の法制化、難民申請者および人道的滞在者の保護措置など、重要な勧告内容が大幅に削除または縮小され、物議を醸した。この過程で、一部の人権委員は「韓国には人種差別問題はない」、「難民家族が危険にさらされているなら、他の国に行けば良いのではないか」、「差別を防ぐための法を作れという勧告をしてはならない」などと発言した。

コ・ギョンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1201847.html韓国語原文入力: 2025-06-09 17:55
訳H.J

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