高級クラブでの接待疑惑が提起されたソウル中央地裁のチ・グィヨン部長判事が「店では酒を飲まずに写真を撮っただけ」という趣旨の釈明をおこなったことに対し、説得力に欠けると指摘する声が一部からあがっている。
朝鮮日報は23日、チ部長判事が最高裁倫理監査官室に対しておこなった釈明の内容を報道した。接待疑惑を提起した野党「共に民主党」は、その根拠としてチ部長判事が2人の同席者と写っている写真を公開した際、その場所をソウル江南(カンナム)の高級クラブ(ルームサロン)だと主張したが、チ部長判事はこれに対して、地方で交流していた法曹界の後輩たちと2023年の夏に会って夕食を共にした後に、近くの酒場で撮った記念写真だと釈明したという。
またチ部長判事は、酒場には一行に勧められて行っただけで、写真を撮っただけで酒席がはじまる前に席を立ったため、酒代は誰が支払ったのか分からないと釈明したという。チ部長判事は、その店はルームサロンではなく、ライブカフェだと主張している。
しかし、わざわざ酒場まで行って記念写真を撮っただけで帰ったというチ部長判事の釈明は説得力に欠ける、との指摘を受けている。ノ・ヨンヒ弁護士はこの日、ユーチューブチャンネル「メブルショー」に出演し、「常識的に考えておかしい」として、「(夕食を終えて)食堂で別れればいいものを、酒場に行って写真を撮って別れるというのは話にならない」と指摘した。
朴槿恵(パク・クネ)政権で大統領府の公職機関秘書官室の行政官を務めたパク・クァンチョン元警正(警視に相当)もこの日、ユーチューブチャンネル「チャン・ユンソンの取材コンビニ」に出演し、「法廷で弁護士がそのように弁護したとしたら、信じるか。写真を撮るなら飲食店で撮れば済むのに、写真を撮る場所がなくてルームサロンに行って記念撮影する人間がどこにいるのか」と述べた。ネットユーザーらの間でも「そこが立ち寄って写真を撮るような写真館だとでもいうのか」という反応が示されている。
チ部長判事は自らの主張を立証する食事代の決済の内訳を倫理監査官室に提出したと朝鮮日報は報じているが、これは酒場では酒を飲んでいないという主張の立証とはかけ離れた資料だ。そのうえ時期も、民主党の主張するチ部長判事が接待を受けた時期(2024年8月)と1年ほど差がある。ノ弁護士は「2024年8月には食事した記録がなかったため、時期を操り上げたのではないかと疑われる」と主張した。
民主党は、チ部長判事の釈明は「うそ」だと反論した。民主党のノ・ジョンミョン院内報道担当はこの日のフェイスブックへの投稿で、チ部長判事の釈明に一つひとつ言及しつつ、「すべてうそ」だとして、「自筆の文書が出てきたわけでもなく、探りを入れることを意図したものかもしれないから、中間整理だけしておこう。『チ・グィヨンは法曹人とルームに行った』」と主張した。
これに先立ち、チ部長判事は、普段はサムギョプサルとソメク(焼酎とビールを混ぜたもの)程度だと釈明しているが、ノ報道担当の主張は、業務との関係性が疑われる法曹人たちと個室のあるクラブに行ったのは事実だと明らかになったということを強調したものとみられる。請託禁止法は職務の関係者から金品を受け取ったり接待を受けたりすることを禁止しており、職務との関係性がなくても1回に100万ウォン、年間300万ウォンを超える金品を受け取れば請託禁止法違反となる。