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尹前大統領の一審裁判日程「30回以上」確定…与党にとっては政治的災い=韓国

登録:2025-04-23 06:43 修正:2025-04-23 11:27
来年に一審判決が言い渡される見通し
尹錫悦前大統領が21日、ソウル瑞草区のソウル中央地裁で開かれた内乱首謀容疑の刑事裁判第2回公判に出席している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 内乱首謀容疑で起訴された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の一審裁判日程が、12月末の30回公判まで確定した。チ・グィヨン裁判長は10回ほどさらに公判を行う可能性もあると述べた。結局、一審の判決は年をまたぐことになった。起訴時点(1月26日)から計算すると、一審だけで1年以上かかるわけだ。

 6月3日の大統領選挙の見通しが暗い与党「国民の力」にとっては、内乱裁判の長期化は政治的災いだ。8月頃に予想される党代表選出の全党大会に、不拘束状態の尹前大統領が政治的影響力を行使する可能性が高い。来年6月の地方選挙に向けて、尹前大統領を「父親」として迎え入れるという「ユンアゲイン新党」創党の再推進もあり得る。

 尹前大統領の一審を担当するソウル中央地裁刑事合議25部(チ・グィヨン裁判長)は21日に開かれた第2回公判を終え、12月22日までの公判日程を公示した。ひとまず5月に3回、6月に3回、7月に4回、8月に3回、9月に4回、10月に4回、11月に4回、12月に3回など、28回の公判を進める。尹前大統領の弁護人側の日程と裁判所の休廷期、連休などを考慮したもので、週に1回だけ公判を開くということだ。

 「内乱・反乱首謀者」の全斗煥(チョン・ドゥファン)氏と盧泰愚(ノ・テウ)氏の一審は起訴から宣告まで8カ月あまりだった。裁判期間だけ計算すれば5カ月ほどだ。内乱・反乱加担者14人、贈収賄の企業家と政治家14人など、30人が同時に裁判を受けた。これに比べれば、内乱罪の証拠が生中継された状況で、尹前大統領一人で裁判を受けているにも関わらず、一審裁判がはるかに長くなるわけだ。

 次の3回目の公判は、3週間後の5月12日に予定されている。この日は大統領選挙の公式選挙運動が始まる日だ。選挙運動期間中に第3〜5回公判(12日、19日、26日)が開かれる。第1〜2回公判で尹前大統領は、全国に生中継された非常戒厳状況を歪曲し、法知識を駆使して詭弁を並べ立てたという批判を受けた。5月の公判でも同様の主張を繰り返す可能性が高い。罷免された大統領と絶縁できず、依然として「弾劾賛否」をめぐり論争を行っている与党にとっては、選挙運動の真っ最中に「それで、『国民の力』の候補の立場?」という質問に答えなければならない苦しい状況に直面しうる。

 特に、まだ出馬をちらつかせているハン・ドクス大統領権限代行首相に与党候補が一本化した場合、大統領選候補ではなく「内乱国務会議の建議者」のイメージがさらに浮上する可能性がある。大統領選の勝敗を左右する中道層の票を掴むには悪材料だ。

 大統領選挙後も問題だ。6月に行われる3回の公判日程は、いずれも大統領選挙後(9日、16日、23日)に決まった。国民の力の予備選挙候補の一部は、全党大会に出馬して党権を狙うものとみられる。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免で行われた2017年5月の大統領選当時、自由韓国党(現・国民の力)の大統領候補だったホン・ジュンピョ前大邱市長は、大統領選敗北から2カ月後の7月の全党大会で党代表に選出された。

 前例からして、今回の大統領選挙以後、国民の力の党大会は8月頃に行われるものとみられる。党代表に選出されれば来年6月の地方選挙公認権を行使できる。国民の力は大統領弾劾局面を経て「極右ファイアウォール」が事実上崩れた状態だ。尹前大統領は、在宅起訴の状態で自由に極右陣営の人物たちに会い、直接・間接的に政治的メッセージを送っている。罷免された朴前大統領が拘束状態で裁判を受け、政治的「声」が完全に断たれたこととは正反対の状況だ。国民の力の党大会でも、尹前大統領の意向を売りにしたり、尹前大統領に後押しされた候補が出てくると予想され、尹前大統領はこれを積極的に活用する可能性が高い。親尹錫悦派の清算ではなく、大統領弾劾訴追の責任論を問う極右的な声が結集することもあり得る。

キム・ゲリ弁護士のフェイスブック・アカウントよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 在宅起訴状態で裁判が長期化する過程で、国民の力に公開的に反感を表出する「ユンアゲイン新党」が創党に向けて本格的に動き出す可能性もある。ユンアゲイン新党の主軸はキム・ゲリ、ペ・ウィチョルなど尹前大統領の弁護人たちだ。最近、尹前大統領に会った写真と対話内容を公開したように、随時尹錫悦に会ってこれを公開し、政治的影響力の拡張を目指しているものとみられる。

 彼らの政治的ポジションは12・3非常戒厳を「救国の決断」とみなす点で極右だ。内乱事態以降、急激に極右化した国民の力と主要支持層が重なる。尹錫悦政権の元高官は22日、「新党が結成されれば来年の地方選挙で大邱(テグ)・慶尚北道など嶺南圏に候補を出す可能性もある。在宅起訴状態が長期化すれば、尹前大統領が国民の力とは別に、独自の政治勢力化を図ることもあり得る。これは保守にとって災いになるだろう」と見通した。

キム・ナミル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1193694.html韓国語原文入力:2025-04-23 01:19
訳H.J

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