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韓国政府の「増員ゼロ」方針にも医学部生・専攻医が復帰しないわけは

登録:2025-03-11 06:35 修正:2025-03-11 07:45
増員撤回を通り越して増員分の削減まで要求 
必須医療政策パッケージも問題視 
「交渉は先輩たちに任せて学業に戻るべき」
9日、ソウル市内のある医学部の様子/聯合ニュース

 韓国政府が医学部生たちの学業復帰を条件に、来年度の医学部募集人数を増員以前の水準に戻すことにしたが、医学部生と専攻医団体は「何も解決されていない」とし、復帰する気配がない。「完全な増員白紙化」ではないと判断している上、政府の必須医療強化政策の撤回まで要求しており、彼らがいつ教育・研修の現場に戻ってくるかは不透明だ。

 医学部生と専攻医が反発する背景には、今回の政府発表が「医学部定員」ではなく「2026学年度募集人数」だけを調整することであり、彼らが要求してきた「2000人増員の白紙化」ではないという点が挙げられる。大韓医師協会(医協)の関係者は9日、ハンギョレに「敏感な定員問題について(イ・ジュホ副首相兼教育部長官が)あえて、『入学定員(5058人)は維持され、募集人数(3058人)だけを減らした』と不必要な話をした」と語った。 医療界の一部では、2025学年度の増員分を考慮し、2026学年度など今後の募集人数を増員前の既存定員(3058人)より削減する案まで引き出すべきと主張している。医師・医学部生コミュニティでは、「中途半端なものでは戻れない。2026年度の減員まで求めよう」など、このまま復帰してはならないという趣旨の書き込みが相次いだ。

 医学部の学生団体である大韓医学部・医学専門大学院学生協会(医大協)は7日、政府発表に対する立場表明文で、「必須医療政策パッケージの撤回」も解決課題として提示した。同政策には医学部の増員を含め、地域医療の強化、必須医療報酬の引き上げ、医療事故刑事責任の緩和、保険非適用の管理体系の強化などが盛り込まれている。あるソウル圏の医学部本科1年のAさんは「必須医療政策パッケージの内容の中で(保険適用と非適用の)混合診療禁止が最も大きな問題」だと話した。他の首都圏の医学部生のBさんは「必須医療政策パッケージのうち、主に未来の診療収入などに影響が及ぶ可能性があるとみられる内容に対する反発が大きいようだ」と語った。

 医学部生と医療界は、政府が提示した2024・2025年度の入学生のための同時教育対策が不十分だとも指摘する。教育部は季節学期などを活用して2024年度に入学した医学部生たちが一学期先に卒業する方式など、4つのモデルを提示した。医協関係者は「これらのモデルを適用する大学のリストなどの具体的な内容がない限り、医学部生たちが復帰するかどうかは判断できない」と語った。

 ただし、医療界内部でも2学年同時教育マスタープランを要求するのは事実上「反対のための名目」に過ぎないという見解もある。ソウルのある医学部教授は「適切な教育案があるわけではない。適切な教育案を示すのが優先だという主張は、復帰しない言い訳に過ぎない」と語った。

 ある非首都圏の医学部教授は「必須医療政策パッケージなどは学校の授業を聞きながら十分に議論できる内容」だとし、「まずは戻ってきて授業を受けなければならない」と語った。医学部本科1年生の子どもを持つ保護者のCさんは「まだ医師免許もない医学部生が、学校で退学になるリスクを背負ってまで必須医療政策パッケージ政策を論じるのが果たして正しいのかと思う」としたうえで、「政府との交渉は先輩医師に任せるべきだ」と語った。

 医学部生と医療界に対する批判も続いている。経済正義実践市民連合は同日、声明を発表し、「政府はいつまで医師と医学部生たちの集団行動に振り回されるのか。彼らは集団行動が政策を後退させたと信じ、診療と授業を拒否する行動をさらに強めるだろう」と批判した。保健医療労組も前日、声明で「復帰しない医学部生たちには学則を厳しく執行しなければならない。これが医学部教育を正常化する近道だ」と主張した。

キム・ユンジュ、イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1186106.html韓国語原文入力:2025-03-10 11:30
訳H.J

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