通称「シロナガスクジラ」プロジェクトは昨年6月、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が自ら会見を開いて「慶尚北道浦項(ポハン)の迎日(ヨンイル)湾沖に140億バレルにのぼる膨大な量の石油とガスが埋蔵されている可能性が高い」と発表し、注目を集めた。しかし、実現の可能性に対する懐疑論や拙速な推進への懸念が強く提起された。化石燃料への依存は気候危機の時代に逆行するという指摘も出た。何より、支持率回復を狙った「政権広報用」ではないのかという批判が強かった。
これに先立ち、15年間この区域で探査作業を進めていたエネルギー企業のウッドサイドが2023年1月に撤退した事実が後に明らかになり、疑惑が膨らんだ。本社の住所が一般家屋で年平均の売上が3000万ウォン(約310万円)に過ぎないコンサルティング会社「アクトジオ」についても物議が起きた。ついに昨年末、国会でボーリング関連予算の497億ウォン(約52億円)が全額削減されると、韓国石油公社は最終的には独自の予算で1回目のボーリングを行った。
6日に産業通商資源部がシロナガスクジラ・プロジェクトの失敗を事実上認めると、各界からは「やはり」という反応が相次いだ。国会の産業通商資源中小ベンチャー企業委員会に所属する最大野党「共に民主党」の議員らは立場表明文を発表し、「十分に予測可能だった結果」だとして、「巨額の予算を伴う国策事業を推進し、透明な情報公開や公正な研究と検証、科学的データを伴う国民への説得作業が存在しなかったため」だと指摘した。共に民主党のキム・ハンギュ議員は「事実上失敗を認めたシロナガスクジラも、追加で発見したという『ミツクリザメ』のプロスペクト(有望構造)も、信頼性の低いアクトジオによる分析結果」だとして、「アクトジオの選定の背景など、探査全般の情報を透明に公開しなければならない」と述べた。環境団体も強く批判した。「プラン1.5」の政策活動家のユン・セジョン氏は「2050年の石油需要は2022年に比べ75%減少する見込みだという状況では、深海油田ではなく海上風力の確保に集中するほうが妥当だ」と述べた。
一方、与党「国民の力」は当惑しつつも言葉を控えている。国民の力の関係者はハンギョレの電話取材に「政府の立場は尊重するが、どのような経緯を経てそのように発表したのか、報告を受ける必要がある」と述べた。
産業通商資源部は「シロナガスクジラは、ボーリング計画を立てた7つのプロスペクトのうち、(最も規模が大きいと予想された)一つ」だとし、「残りの(イカ、メンタイなどの名前がついた)6つのプロスペクトについてはさらにボーリング探査を進める」ことを明らかにした。しかし、今回の失敗で石油・ガス田の開発計画自体を「原点から再検討すべき」だとする批判が高まり、推進力を確保できるかどうかは疑問だ。予算確保で野党の協力を期待することが難しい状況では、国外から大規模な投資を得ることで後続の事業推進が可能になるが、その可能性は高くないとみられるためだ。尹大統領の弾劾審判が進行中である政局も、大きな負担として作用している。産業通商資源部は、2回目のボーリングのために来月から国外投資を誘致し、これを通じて国会で政府予算の検証を受ける計画だ。一部からは「大統領が先頭に立って事業を膨らませた結果、逆に事業の正常な推進を困難にした」という指摘も出ている。