韓国が日本と佐渡鉱山(「佐渡島の金山」)のユネスコ世界文化遺産登録をめぐる交渉を進める過程で、展示物の設置予定地である相川郷土博物館に朝鮮人を動員した過程の抑圧性を示す「強制」という表現を明記するよう要請したが、日本政府が受け入れなかったことが確認された。韓国側の主な要求が通らなかったにもかかわらず、佐渡鉱山の世界文化遺産登録に同意したわけであり、「低姿勢交渉」という批判が一層高まるものとみられる。
外交部は6日、国会外交統一委員会所属の野党「共に民主党」のイ・ジェジョン議員に提出した答弁書で、「佐渡鉱山の展示内容を協議する過程で『強制』という単語が入った日本の過去の史料および展示の文案を日本側に要請したが、最終的に日本はそれを受け入れなかった」と明らかにした。これは、韓国政府が日本に「強制性を表す文言」を要求し、日本政府がこれを受け入れたというこれまでの説明とは異なる内容だ。
これに先立ち、外交部当局者は先月30日に「(相川郷土博物館の)実際の展示内容を韓日両国が協議して構成する際、韓国側は強制性がより明確に表れる多くの内容を要求し、日本が最終的に受け入れたのが現在の展示内容」だと述べた。
外交部の説明どおり、相川郷土博物館に現在設置された展示物には、初期には朝鮮総督府の関与のもと「募集」と「官斡旋」が施行され、1944年9月からは「徴用」により労働者に義務的に作業が与えられ、それに違反した者は収監または罰金を課された、という内容が書かれている。しかし、展示物に朝鮮人が強制的に動員されたという明示的な表現は抜けている。
波紋が広がったことを受け、韓国政府は日本と佐渡鉱山の世界遺産登録に関する交渉を行った結果、「強制性を表す表現」を日本が受け入れたとして、成果を強調した。一方、交渉過程で日本が韓国側のどのような要求事項を受け入れなかったのかについては明らかにしなかった。特に「強制」(forced to work)という表現を明記するよう要求したかを尋ねる度に、「表現の問題について日本と交渉したわけではない」として具体的な答弁を避けてきた。
イ・ジェジョン議員室の質疑に対する外交部の答弁が公開されたことで、政府が交渉失敗という批判を免れるために、韓国側の「強制」という表現の明記要求を日本が拒否した事実を意図的に隠したのではないかという声もあがっている。
聖公会大学日本学科のヤン・ギホ教授は、「韓国が有利に交渉を進められる状況だったにもかかわらず、なぜこのように簡単にあきらめたのか理解に苦しむ。最初から世界遺産登録に同意しようという結論ありきで交渉に臨んだのではないかという疑念を抱かせる」と語った。イ・ジェジョン議員は「政府は交渉の過程と内容を詳細に明らかにしなければならない」と述べた。
日帝強占期(日本による植民地時代)に朝鮮人が強制動員された現場である佐渡鉱山は、先月27日(現地時間)、インドのニューデリーで開かれたユネスコ世界遺産委員会第46回会議で、韓国を含む委員国が満場一致で同意し、世界遺産に登録された。