「医師の集団辞職と集団休診は、重症患者にとって死刑宣告に他なりません」
「拠点てんかん支援病院協議体」のホン・スンボン委員長は16日、ハンギョレの電話インタビューでこのように語った。拠点てんかん支援病院協議体は、全国18の大学病院のてんかん専門教授で構成された団体で、18日に予告された大韓医師協会の集団診療拒否に参加しないことを決めた。ホン委員長は「(集団辞職・休診は)後輩・同僚の医師たちの決定だが、医師として、国民としては到底理解できない」とし、「2025年に1509人の医学部定員を増員する問題が人の命より大切なのか」と話した。
ホン委員長は「医師の数が(今より)1%増えたからといって、韓国の医療が崩壊すると言えるのか」とし、「医師が不足して患者が死亡することはあっても、医師が多すぎて患者が死亡する国は世界のどこにもいない」と指摘した。さらに「10年後に活動する医師が増えることを防ぐために、現在数十万人の重症患者の命を危険にさらすことは絶対にあってはならないことだ。医師としての責任と使命を守らなければならない」と語った。
ホン委員長は、専攻医らが医療現場を離れた後、多くのてんかん患者たちが手術を受けられなくなっており、これは患者たちの命と直結すると強調した。てんかんとは、脳の神経細胞が一時的に異常を起こし、身体のけいれんなどが繰り返し発生する疾患をいう。ホン委員長は「日常生活の中でてんかんの症状が現れた患者たちは、熱湯を浴びて指を失ったり、階段から転げ落ちて骨折するなど、怪我をするのが日常茶飯事だ。このような患者を毎日診る医師として、(医療空白が)このまま続いてはいけないと思う」と語った。また「一般人より30倍ほど高い突然死率とてんかん発作による事故死で、若い重症難治性のてんかん患者が一日で1~2人死亡する」とし、「てんかんの手術を受ければ死亡率が大幅に減り、長期生存率が2倍高くなる」と話した。
そのため、至急の手術が切実に求められるてんかん患者は数え切れない。ところが、医学部の定員増員に反発し、専攻医たちが研修病院を離れたことで、麻酔痛症医学科のスタッフも減り、手術件数が大幅に減少したというのがホン委員長の説明だ。ホン委員長は「麻酔関連の人手不足で、予定されていた手術の実施率が40%以下になっている。てんかん患者に手術の取り消しは死刑宣告も同然だ」と語った。
ホン委員長は、今も重症患者の手術能力が大幅に低下したが、医学部教授らの診療拒否で状況が急激に悪化する可能性があると懸念した。ソウル大学医学部・ソウル大学病院教授協議会の非常対策委員会は、診療拒否初日の17日、手術室の稼働率が現在(62.7%)の半分水準の33.5%に下がると予想しながらも、重症・救急患者の診療は維持すると発表した。これに対し、ホン委員長は「今もてんかんやがん患者など多くの重症患者の手術が取り消しまたは無期限延期になった状況」だとし、「休診で手術室の稼働率がさらに下がるのに、どうやって重症患者の診療を維持するのか」と問い返した。さらに「手術が延期された患者の保護者は『患者が死んでいく』と訴えている。『麻酔スタッフが補強されればもっと多くの手術ができる』という外科教授もいる」とし、「専攻医が戻ってこない状況が続くなら、海外から短期間麻酔科医を呼んできてでも、この問題を解決しなければならない」と補足した。
ホン委員長は、「専攻医は医療現場に復帰し、医学部教授らは医療現場を守らなければならない」と強調した。また「政策変化が必要だと考えるなら、重症患者に被害を及ぼさない方法で闘わなければならない。辞職・休職で患者が死ぬことになれば、目的が何であれ正当化できない」と批判した。