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大統領夫人事件を終了した韓国権益委、過去には「配偶者の斡旋収財もありうる」

登録:2024-06-13 06:11 修正:2024-06-13 09:39
権益委2017年解説集には公職者配偶者の金品授受関連言及あり
尹錫悦大統領とキム・ゴンヒ女史が11日(現地時間)、トルクメニスタンのアシガバートのあるホテルで、トルクメニスタン国家最高指導者兼人民理事会議長のグルバングル・ベルディムハメドフ前大統領夫妻との親交昼食会で言葉を交わしている/聯合ニュース

 国民権益委員会(権益委)が「請託禁止法に配偶者処罰条項がない」との理由で何の調査もせず尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人、キム・ゴンヒ女史の「ブランドバッグ受け取り」疑惑を調査終了にし、物議を醸している中、請託禁止法施行初期の権益委は「公職者の配偶者の金品授受は請託禁止法の制裁対象ではないが、他の法律で処罰を受けうる」という解釈を出したことが確認された。権益委は請託禁止法以外の法律違反の疑いがあれば、通報された事件を捜査機関に移管しなければならない。権益委の解釈どおりなら、キム女史の件もこれに該当し、移管の対象になり得る。だが、権益委は「請託禁止法上の制裁条項がない」として実体について判断せず、キム女史の件を終了にした。

 不正請託および金品など授受の禁止に関する法律(請託禁止法)施行初期の2017年8月、権益委はホームページに「配偶者の金品など授受禁止」解説集を載せ、「授受禁止金品などを授受した配偶者は請託禁止法上の制裁対象ではないが、他の法律にともなう制裁対象になりうる」と明示した。権益委が挙げた他の法律とは、特定犯罪加重処罰法上の斡旋(あっせん)収財と弁護士法違反だった。両法律はそれぞれ「公務員職務に属した事項の斡旋に関して金品などを授受した者は5年以下の懲役または1千万ウォン(約114万円)以下の罰金に処する」、「公務員が取り扱う事務に関して請託名目で金品を受け取った者は5年以下の懲役または1千万ウォン以下の罰金に処する」と定めている。

権益委の案内書より//ハンギョレ新聞社

 斡旋収財などで処罰するためには、授受や金品が公務員職務を斡旋した行為と関連がなければならない。権益委はこれについて、解説集で裁判所判決を引用し、「法制定の趣旨が金品など授受禁止を通じた職務遂行における公正性の確保という点を考えると、公職者などの金品の授受によって社会一般から職務執行の公正性を疑われるか否かが職務関連性判断の基準」にならなければならないと書いた。職務関連性の範囲を非常に広く判断するという内容だ。この解釈集の内容どおりなら、バッグを渡したチェ・ジェヨン牧師が「キム・チャンジュン元米連邦下院議員の国政諮問委員委嘱と国立墓地の埋葬を頼んだ」という陳述などから、バッグと尹大統領の職務関連性が全くないとみるのは難しい状況であるわけだ。

 権益委は「請託禁止法と収賄罪の職務関連性の意味は同じだ」とし、「公務員が職務対象になる人から金品などを受け取った時は、社会常規に照らして儀礼上のものに過ぎないと考えられるか、個人的な親交関係があって付き合い上の必要によるものだと明白に認められる場合などの特別な事情がない限り、職務関連性がないとみることはできない」という最高裁判所の判例を引用したりもした。職務関連性を過度に狭くみてはならないという趣旨の判例も引用したのだ。

 12日、権益委のチョン・スンユン副委員長は記者団に「請託禁止法外の事由によっては捜査機関に移牒・送付する規定はない」と主張した。しかし、これは権益委が恣意的に権限を縮小解釈したものだという指摘もある。権益委法第59条は「受け付けられた通報事項に関して、監査・捜査または調査が必要な場合、これを捜査機関などに移牒しなければならない」と規定しているためだ。権益委が不正腐敗事件を知っていながら、請託禁止法違反ではないという理由で捜査機関に移管しなければ、捜査機関はその犯罪の事実自体を知り得る方法がない。

 市民団体「参与連帯」の行政監視センター所長であるチェ・ヨンムン弁護士は「腐敗防止を主な業務とする権益委の幅広い目的からすると、捜査機関への移牒対象を請託禁止法違反だけで狭く限定して見ることはできない」とし、「権益委の不正請託通報処理を規定した法令を見ても、必ずしも請託禁止法違反に限定してのみ移牒ができるとされているわけではない」と語った。

チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1144558.html韓国語原文入力: 2024-06-1300:07
訳H.J

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