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金正日・小泉会談から20年、岸田首相訪朝の可能性は…

登録:2024-05-23 08:51 修正:2024-05-23 09:50
2002年9月17日に訪朝した小泉純一郎首相(左端、当時)が、百花園招待所で北朝鮮の金正日国防委員長(右端、当時)と握手している。安倍晋三官房副長官(左から3番目、当時)が金委員長を見つめている/聯合ニュース

 今月22日、日朝首脳会談から20年を迎えた。政治資金パーティー裏金問題などで前例のない危機に直面している日本の自民党は、岸田文雄首相の訪朝を危機打開策の一つとして模索しているが、水面下の交渉も停滞状態だという悲観論が出ている。

 日本のメディアは22日、2004年の小泉純一郎首相(当時)による2度目の北朝鮮訪問から20年になると述べつつ、日朝国交正常化交渉は進展していないと指摘した。

 2004年5月22日、小泉首相は突如2度目の平壌(ピョンヤン)訪問を行い、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長と首脳会談をおこなった。小泉首相は2年前の2002年9月17日に史上初めて訪朝し、金正日国防委員長と首脳会談を行い、国交正常化に向けて努力するという内容の日朝平壌宣言を発表した。最初の首脳会談の際、北朝鮮は初めて日本人拉致を認めて謝罪したが、日本国内では拉致問題によって世論がむしろ悪化したため、2度目の訪朝をおこなったのだ。

 2度目の訪朝の際、小泉首相は「(日朝)国交正常化の実現が大いに期待される」と述べ、金委員長は「朝鮮半島の非核化が目的であり、6カ国協議を通じて平和的に解決していく」と述べた。小泉首相は北朝鮮に25万トンの食糧と1000万ドル分の医薬品を渡し、対北朝鮮制裁法の施行を保留するという「ニンジン」をぶら下げた。日朝国交正常化交渉が改めて軌道に乗ったと評価された。しかしその後、日朝国交正常化は実現せず、日朝首脳会談が再び行われることはなかった。

 最近では、日朝首脳会談が再び行われるかもしれないと期待されてもいる。昨年5月、岸田首相が「条件を付けずにいつでも金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う」と発言してから2日後、北朝鮮外務省が「日本が新しい決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が互いに会えない理由はない」と前向きなシグナルを送った。朝日新聞などによると、これより前の昨年3月と5月には、北朝鮮と日本政府関係者が東南アジアの主要都市で秘密裏に接触し、日本政府高官の平壌派遣も話し合っている。今年1月に日本で能登半島地震が起きた際には、金正恩委員長が岸田首相を「閣下」と呼ぶ異例の見舞いの電報を送っている。金国務委員長の妹のキム・ヨジョン労働党副部長は今年2月に「首相が平壌を訪問する日が来ることもあり得る」と述べてもいる。キム副部長は3月25日にも、「最近も岸田首相は別のルートを通じて早期に朝鮮民主主義人民共和国の(金正恩)国務委員長に直接会いたいとの意向を我々に伝えてきた」と述べている。

 しかし翌日の3月26日、キム副部長は「日本側とのいかなる接触も交渉も無視し、拒否する」とし、日朝首脳会談は推進しないと扉を閉ざした

 日朝関係に20年間進展が見られなかった最大の理由の一つは拉致問題だ。小泉首相の1回目の訪朝時に官房副長官として同行した安倍晋三元首相は、拉致問題についての強硬論を主導して保守派の注目を集めた。その後、首相の座についた安倍氏は、拉致問題の解決なき国交正常化はなく▽拉致被害者は全員が生存しており▽直ちに全員を返すべきだとする「3原則」にこだわった。北朝鮮が死んだと発表した人々は実は生きている可能性が高いから返してほしいとの主張で、北朝鮮は日本のこのような主張を受け入れなかった。

 北朝鮮が岸田首相の会談提案に対して、最初は前向きに反応したものの、その後は冷ややかに対応している理由の一つも、日本の拉致問題に対する態度には安倍政権時代と決定的な変化がないと判断したためとみられる。キム副部長は3月25日、日朝首脳会談について「知るすべもない(日本人)拉致問題に没頭するなら、首相の構想が人気取りに過ぎないという評判は避けられなくなるだろう」とし、「日本は政治的勇断を下すことが必要だ」と迫った。

 しかし、岸田首相が北朝鮮の要求する「政治的勇断」を、世論の反発を押し切ってまで下せるかは未知数だ。また、北朝鮮はこのところ中国やロシアと固く結束しているため、日本との首脳会談の「魅力」は低下しているとの分析も日本国内で示されている。

 小泉訪朝当時の2000年代初め、米国のブッシュ政権は北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び圧力をかけていた。長きにわたって北朝鮮を支援してきたソ連は1991年に解体され、新たに誕生したロシアは韓国と国交を樹立したため、北朝鮮は孤立していた。しかし、最近はロシアと北朝鮮の武器取引疑惑が持ち上がるなど、北朝鮮とロシアの関係は再び親密になりつつある。

 朝日新聞は「2000年代の小泉氏訪朝時と比べ、北朝鮮にとって日本の優先順位が低くなったという見方もある」と指摘した。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1141644.html韓国語原文入力:2024-05-22 17:23
訳D.K

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