サムスン電子とSKハイニックスに代表される韓国半導体産業が、再生可能エネルギーを利用して半導体を生産する「グリーン半導体」競争で台湾と日本に後れをとっているという研究結果が出た。電気自動車(EV)のように半導体にも炭素排出が多い国に一種のペナルティを与える「国境炭素税」などが適用されれば、韓国の半導体産業と輸出の景気に大きな脅威になりかねないとの懸念が出ている部分だ。
米国ジョンズ・ホプキンズ大学の「カーボンニュートラル産業政策研究所」は13日、「新冷戦時代、韓国に与えられた機会とリスク」という報告書を通じて、韓国半導体産業がカーボンニュートラル(炭素中立)というグローバルな流れの中で競争力を失わないためには、再生可能エネルギーを大規模に拡大しなければならないと提言した。同研究所は主要国の産業を分析する政策シンクタンクで、半導体・自動車・バッテリーなどの主要サプライチェーンおよび国別産業報告書を発表している。
研究所は、米中覇権競争の中で韓国が世界最大規模の「龍仁(ヨンイン)メガクラスター」造成を通じて、2030年以降非メモリー半導体市場でシェア10%を超えるという目標を立てたが、再生可能エネルギー問題で「相当な挑戦課題」に直面していると評価した。「半導体の製造過程での莫大な電力使用により、多くの炭素を排出するサムスン電子とSKハイニックスは、再生可能エネルギーで生産された『グリーン半導体』を生産すべきという国際的圧力に直面している」ということだ。
サムスン電子とSKハイニックスは、2050年までに使用電力量を100%再生可能エネルギーで調達するという国際的なイニシアティブ「RE100」に加入したが、2030年半ばまでに韓国国内の再生可能エネルギー発電比重は30%にも満たず、目標達成が事実上困難とみられている。一方、台湾のファウンドリ企業「TSMC」の場合、台湾政府の再生可能エネルギー拡大支援策で再生可能エネルギー100%達成目標を2040年とし、従来より10年繰り上げており、日本政府も半導体生産施設誘致のために再生可能エネルギー100%でTSMC熊本工場を稼動する政策を支援している。
研究所は「サムスン電子とSKハイニックスはグリーン半導体競争で後れを取っている」とし、「半導体競争国が自国企業に有利な国境炭素税(二酸化炭素排出規制が緩い国が厳しい国に商品などを輸出する際に適用される貿易関税)を適用するならば、韓国企業に対する規制圧迫は一層激しくなり、半導体輸出が不利になる可能性がある」と明らかにした。また、新しい半導体生産施設の立地決定には再生可能エネルギーへのアクセスの良さが主要要因となるため「再生可能エネルギーの確保が難しければ韓国が最先端半導体施設投資を誘致できないリスクに瀕する」と警告した。
報告書の主執筆者であるティム・サハイ博士(カーボンニュートラル産業政策研究所共同責任者)は「韓国政府は様々な政治・地政学的変化に断固として対応してきながらも、エネルギー転換に対する政治的支援は脆弱な状態」だとし「カーボンニュートラルという世界的な流れの中で競争力を失わないためには、再生可能エネルギー施設と産業クラスターを共に配置するなどの政策推進が必要だ」と強調した。