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尹大統領の立場表明を見た韓国市民の反応は…「残りの3年がさらに心配」

登録:2024-04-18 08:59 修正:2024-04-18 10:07
総選挙惨敗後、初の公式の立場表明に市民は失望 
「『がんばったのに国民が分かってくれず残念』とでも言いたげな口ぶり」
16日午前、ソウル中区のソウル駅で、市民が生中継されている尹錫悦大統領の国務会議での冒頭発言を見守っている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が与党の総選挙での惨敗後に初めて表明した公式の立場は、これまでの国政運営の方向性を再確認する水準にとどまった。それを見守った市民たちは失望をあらわにしている。尹大統領は16日に生中継された国務会議の冒頭発言で、「民意を傾聴する」と述べつつも、国民の心をつかむことができなかったことに対して謝罪することも、それを変えるための具体的な刷新策を打ち出すこともなかった。

 市民の最初の反応は、大統領の状況認識が変化していないことに対する驚きだった。ソウルの職場に通うYさん(45)は、「明確すぎる政権審判のメッセージが突き付けられても、『政府の政策の方向性は正しかったが、国民が分かってくれなかった』という話ばかりを繰り返していた。談話を見たら、これからの3年をどう過ごせばよいのか、心配が増えた」と話した。

 会社員のKさん(40)は、「平身低頭しても受け入れられるかどうかという状況で、『私はこれはよくやった』とくどくど強調するのを見て、理解力が足りな過ぎる人だということに衝撃を受けた」と話した。

 2022年の大統領選挙で尹大統領に票を投じた30代の公務員Jさん(慶尚南道昌原)は、「前政権の過ちを正そうと努めたが国民が分かってくれず残念だと言いたげな口ぶりだった。『合理的な意見はより尊重し、耳を傾ける』と言っているが、あれは結局のところ自分の気に入った話だけを聞くということではないか。今まで通りやっていくという話だ」と批判した。

 ある50代の自営業者は「自分はがんばっているのに国民は分かっていないと考えているのなら、それは本人の過ちだ。生中継を見ていてテレビを壊しそうになった」と話した。

尹錫悦大統領が16日、ソウル龍山の大統領室庁舎で行われた国務会議で発言している/聯合ニュース

 尹大統領は「十分ではなかった」、「努力が足りなかった」、「伝達が不十分だった」という言葉を繰り返したが、肝心なそもそもの国政基調設定の誤りを変えようとしないことに対する批判の声もあった。

 「民意は国政基調が誤りだということを票で示したが、それを変えるつもりはなく、民意をより傾聴すると言ってばかりいるのだから、今後は政争がさらに激しくなりそうだ。とても心配だ」(京畿道南楊州に住むフリーランサー)、「ポピュリズム、カルテル、麻薬などの強調していた単語は、尹大統領がずっと夢中になっていたものだ。さらに公職者の綱紀粛正も強調しているが、あれは『私はうまくやっているが、下が役に立たない』という意味ではないか」(大田在住の50歳男性)

 市民は特に、政権審判論に火をつけたキム・ゴンヒ女史のブランドバッグ授受疑惑、イ・ジョンソプ前国防部長官の駐オーストラリア大使任命などについて一言も触れなかったことに憤っていた。会社員のAさん(40)は、「尹大統領は細かい領域で不十分だったと言ってばかりいるが、細かい領域とは何なのか、何が不十分なのかがまったくはっきりしない。イ・ジョンソプ大使、キム・ゴンヒ女史の件などの、総選挙敗北の原因となった事件については一言も触れないので、半端な談話だと思った」と語った。

 差し迫った懸案である医学部の増員問題について、大統領が具体的な解決策を提示しなかったことに対しても、失望の声が噴き出した。会社員のLさん(43、仁川西区)は、「医師の増員が必要だということには共感するが、2千人という数字を固定しておいて絶対に譲歩できないという態度は正しくないと思う。医療現場も限界に達しているし、専攻医に過度に依存している実態があらわになったのだから、医師たちと真剣に交渉テーブルについて対策の議論を試みるべきではないか」と述べた。

 会社員のLさん(33、ソウル冠岳区)も、「医師が集団行動するのも問題だが、今すぐに医学部生を2千人増やすのは無理だという指摘もあるではないか。私も医師の増員には賛成だが、医療改革は数字を掲げたキャンペーンのようにやっていれば実現するものではない。突破する力が足りないなら現実的妥協案を示すべきであるはずだが、そのような態度はまったく見えなかった」と指摘した。

 大統領選挙はもとより、今回の総選挙でも与党「国民の力」の候補に票を投じた人でさえ、評価は冷ややかだった。「尹大統領の国政運営にとても失望し、今回は投票を放棄しようかと思ったが、それでも投票所に行った」というCさん(64、ソウル道峰区)は、「それでも自分が拒否権(法案の再議要求権)を9回も使ったこと、特にキム・ゴンヒ女史に関する特検すら拒否したことについて、何か一言あると思った。特検をやらないなら、どのような手段で真実を国民に説明するのか、せめて代案くらいは提示すべきなのではないか」と述べた。

 釜山市海雲台区(ヘウンデグ)に住む会社員(54)は、尹大統領の引くことのない態度を懸念しつつ、「今回、民意を確認しただけに、虚心坦懐に野党代表とも意思疎通を図り、国民を一つに統合する姿勢を示してほしい。本当にこれが最後」だと述べた。

イ・ジュヒョン記者、各部署総合 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1136909.html韓国語原文入力:2024-04-17 05:00
訳D.K

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