本文に移動

[ニュース分析]アジア情勢の分水嶺となる米日同盟の強化…試される韓国外交

登録:2024-04-15 05:59 修正:2024-04-15 17:01
左からフィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領、米国のジョー・バイデン大統領、日本の岸田文雄首相が11日、米ホワイトハウスのイーストルームで、首脳会議に先立ち記念撮影を行っている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 先週の米日首脳会談および米国・日本・フィリピン首脳による会談は、東アジア秩序の重要な分水嶺であり、朝鮮半島をめぐる国際政治の地形にも根本的な変化のシグナルだ。米国は日本を「国際秩序守護の共同責任者」と宣言し、日本は軍備を強化して中国けん制の主軸としての役割を担うと同時に、影響力を大きく強化した。韓国がどのような原則を立てて対応するのか、課題が大きくなった。

 米国がこのような方向への変化を模索し始めたのは最近ではない。2008年の米国発金融危機とテロとの戦いの失敗で米国の覇権が衰退したことを受け、米国の戦略家たちは中東など他の地域に対する介入を減らし、中国けん制に力を集中させるとともに、同盟国により多くの役割と費用を負わせる戦略を構想した。バラク・オバマ政権の「アジア回帰」(Pivot to Asia)政策から始まったこの変化の流れが、昨年の韓米日首脳によるキャンプデービッド宣言を経て、今回米日が「グローバル・パートナー」として安全保障の一体化を宣言したことで、アジアでの中国けん制網の基本枠組みを完成した。オバマ政権から現在のジョー・バイデン政権まで、カート・キャンベル国務副長官がこの戦略を設計し、指揮を執ってきた。

 これまで東アジアが韓米、米日、米比などの二国間同盟を結ぶ米国を中心とした車輪型構造(ハブ・アンド・スポーク)だったとすれば、今や米国と日本を中心に複数の少数国で構成するミニラテラル同盟構造を拡大し、細かく織り込んでいく「格子」の網で中国を牽制する方向へと切り替わりつつある。AUKUS(オーカス・米英豪の安全保障協力枠組み)やQUAD(クアッド・米日豪印による安全保障協力枠組み)、米日比など、このような網に韓国の参加を求める米国の要求または招待が増えるだろう。南シナ海と台湾に隣接した東シナ海で、韓国の軍事的役割に対する要求も高まっている。

米日首脳会談の主な合意内容 //ハンギョレ新聞社

 特に、AUKUSに韓国が参加する問題が浮上している。軍事協力体の性格が強いAUKUSはオーストラリアに原子力潜水艦を提供するための「第一の柱(ピラー1)」と、人工知能(AI)や量子コンピューティング、サイバーセキュリティ、海底技術、極超音速ミサイルなど8分野の先端軍事力を共同開発するという「第二の柱(ピラー2)」に分かれる。バイデン大統領はAUKUSへの日本の参加を検討する方針を表明した。さらに、米国家安全保障会議(NSC)の関係者は、「日本のほかに、韓国、カナダ、ニュージーランドを協力パートナーとして考慮している」と明らかにした。韓国外交部は直ちに「歓迎する」という立場を示した。外交部のイム・スソク報道官は先週、「韓国政府は先端技術など様々な戦略的分野でAUKUSと協力することに開かれている立場であり、また緊密にやり取りをしてきている」と述べた。

 問題は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権がどのような原則と戦略を持って参加するかにある。日本は平和憲法から事実上抜け出し、再武装と軍備強化へと進んでおり、アジアで中国けん制の中心的役割を果たす見返りに、米国から先端技術をはじめ軍事、経済分野で非常に具体的な利益を確保する方向で戦略を練っている。

 韓国がきちんと戦略を立てて交渉しなければ、中国とさらに関係が悪化するだけで実益のない状況に追い込まれる可能性が高い。これまで尹錫悦政権の外交は、「自由の価値を守る同盟の一員」というリップサービスの他には、米国と日本から韓国の戦略と経済的利益を具体的に確保できなかった。米国の戦略的変化の中で、オーストラリアはAUKUSに参加して原子力潜水艦を確保し、日本は米国と武器共同開発をはじめ半導体、AI、量子物理学、核融合、宇宙まで未来の中心的産業で重要な利益を米国から得ているのとは対照的だ。韓国は空軍が保有するF35戦闘機を日本の在日米軍基地に送って整備をしている。米国の先端技術に対する韓国のアプローチは、日本に比べて非常に限られている。

 このような外交が続けば、韓国は米日同盟の下位同盟に固着化し、中国との対立だけが大きくなり、未来の中心的産業で日本に比べて大きく不利になる状況に追い込まれる可能性がある。元外交当局者は「世界的に情勢の大きな流れが変わりつつあるため、韓国が米日同盟を中心としたアジアの新しい同盟構造を元に戻すことも、そこから離脱することもできない状況」だとしながらも、「韓国がこの変化の中で明確な目標と戦略を立てて、韓国の議題を解決する空間を作らなければならない。韓国の原則と現実に沿って新しい構造に参加する一方、朝鮮半島の非核化と平和統一に向けて中国やロシアとの関係も管理する空間を作る総合的外交戦略が重要だ」と指摘した。

 日本が歴史問題に対する反省から目を背け、再武装の道に進み、米国がこれを積極的に進める状況に対しても、韓国はこれ以上沈黙してはならない。日本の岸田文雄首相は11日に行った米議会両院合同会議での演説で、過去の侵略戦争と植民支配に対する反省どころか関連内容に一切言及しなかった。これまで韓国は日本に歴史問題に対する反省を求めてきたが、2022年5月の尹錫悦大統領就任以来、このような要求が消えたことと無関係ではない。韓国外交部当局者は13日にも、米日首脳会談を通じて両国が軍事同盟の格上げに合意したことについて、「米日同盟は防衛的性格だとしながらも、域内の平和と安定の強化を目指していると強調していることに注目する」とだけ述べ、歴史問題に対する反省が消えたことについては全く言及しなかった。

 尹錫悦政権が歴史問題に対する反省の要求を断念したことで、日本との外交においてはむしろ韓国の立場が弱まっている。韓国政府は来年、韓日国交正常化60周年を迎え「新韓日宣言」を推進しようと提案したが、日本政府はあまり関心を示していない。尹錫悦政権が歴史問題に対する反省の要求を放棄した状況で、韓国に外交力を大きく注ぐ必要はないという認識が、日本政府内で固まっている。韓国が活用する外交カードも消えつつある。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1136520.html韓国語原文入力:2024-04-14 19:48
訳H.J

関連記事