国連安全保障理事会(安保理)の対北朝鮮制裁決議の履行を監視してきた専門家パネルの活動が、ロシアの拒否権行使で30日に終了する事態と関連し、代案づくりに向けた動きが本格的に始まっている。
米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は14日~17日に韓国を訪問した後、20日まで日本を訪問する。ネイト・エバンス国連米国代表部報道官は8日(現地時間)、トーマスグリーンフィールド大使が今回の訪問の間、韓日両国の高官らと会い、ロシアの拒否権行使によって今月末で活動を終了することになった安保理対北朝鮮制裁委員会の専門家パネルに代わる独立的で正確な対北朝鮮制裁履行の監視について話し合うと述べた。同大使は、韓国で非武装地帯(DMZ)を訪問し、若い脱北者たちと面会するほか、梨花女子大学の学生たちとも会う。
一国の国連大使が他国を歴訪するのは極めて異例のことだ。最近、北朝鮮と急速に密着したロシアの拒否権行使で北朝鮮の核・ミサイル開発を阻む国連安保理決議が形骸化することを防ぐため、米国が積極的に同盟国の結集に乗り出したものとみられる。
専門家パネルは2009年、北朝鮮の2回目の核実験への対応として採択された安保理決議第1874号に基づき発足した監視機構で、毎年北朝鮮に対する制裁の履行に関する報告書を提出してきたが、先月28日にロシアが任期延長案に対する拒否権を行使したことで、今月30日に活動が終了する。北朝鮮の核・ミサイル開発に対する国連安保理制裁の履行に大きな穴が開くことになった状況だ。
米国はまず韓国と日本をはじめ主要7カ国(G7)、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国など「類似した立場の国」に参加を呼びかけ、専門家パネルのような役割をする機構を作る可能性がある。チョ・テヨル外交部長官は5日、ベルギーのブリュッセルでNATOのイェンス・ストルテンベルク事務総長と会談し、「(国連)北朝鮮制裁委専門家パネルに代わる新たなモニタリング・メカニズムを友好国とともに構想している」とし、こうした取り組みへのNATOの参加を求めた。
外交部当局者も9日、「政府は米国を含む『類似した立場の国』とともに、より効果的な対北朝鮮制裁モニタリング・メカニズムの構築のための様々案を講じている」と述べた。ただし、こうした機構が作られたとしても、対北朝鮮制裁の履行に最も重要な中国とロシアが参加しないため、制裁履行の実効性は低くならざるを得ない。
一方、11日夜には国連総会でロシアの拒否権行使を糾弾する総会が開催される。
外交部当局者は「安保理常任理事国が拒否権を行使した場合、国連総会議長決議第262号に基づき、拒否権行使日から勤務日10日以内に総会の公式会議を招集しなければならず、これにより今回の会議が開催される」と述べた。チョ・テヨル長官は「最近、北朝鮮制裁委専門家パネルの任務延長決議案がロシアの拒否権行使で否決され、韓国政府はロシア糾弾のための国連総会の招集に向け外交的努力を傾けている」と明らかにした。