23日午後、医学部の増員をめぐり、韓国政府と大韓医師協会(医協)が放送番組で討論を行った。政府と医協側の立場が拮抗している中、討論をテレビで見守り、電話で意見を述べた韓国重症疾患者連合会のアン・ソニョン理事は「今日のような議論をするなら、政府と医協が患者たちに対し、どのように責任を果たすのかについても議論すべきではないのか」と指摘した。
同日午後3時30分、パク・ミンス保健福祉部第2次官とキム・テグ大韓医師協会(医協)非常対策委員長は、「韓国放送(KBS)第1テレビ」に出演し、「医学部の増員をめぐる議論、『本質』を問う」というテーマで、90分間にわたり討論を行った。医学部の増員をめぐり、政府と医協の立場が平行線を辿っている中、討論の司会者はアン・ソニョン理事に電話で意見を求めた。
アン理事は、先立って電話で発言したキム・ゴンミン大韓医科大学・医学専門大学院学生協会非常対策委員長の話について言及した。学生たちの意見を伝えてほしいという司会者の要請に対し、キム・ゴンミン非常対策委員長は「今回の医学部の定員拡大と必須医療パッケージ政策により、学業を続けるのが難しいほど剥奪感と懐疑感を覚えている」と語った。さらに「私たち医学部の学生たちは学生時代から数年間、医師という使命感のある職業を夢見て、一生懸命勉強して医学部に入った」とし、「成人になる前に、職業を通じて一生他人のために生きると誓った学生たちだ。医学部に来た後も寝ずに学んだ知識を、後で完全に患者のために捧げることを心に決めていた」とし、最近、休学届を提出せざるを得なかった理由を説明した。
これに対し、アン理事は「医師だけが夢を求めて職業を決めるわけではない。医者だけが徹夜で勉強し、情熱と道徳性を持って職業を選ぶわけでもない。働く人たちは皆そうだ。皆が召命意識、使命感を持って今日も一生懸命働いている」とし、「医師だけの特権であるかのような発言に、患者たちが不快感を覚えている」と話した。
さらに「患者を見捨てた」として、政府と医協の両方を批判した。アン理事は「医師たちは現場を守るべきではないか。政府も医協も患者たちを見捨てた」とし、「今日のような議論をするなら、政府と医協が患者に対してどのように責任を果たすのかについても議論すべきではないか」と批判した。「そうしてこそ(医師が)ストライキをしようが、(政府が)強硬対処をしようが、名目が立つのだ」と語ったアン理事は、「最も大きな被害を受けている患者を排除し、このように医協と政府だけがテーブルをはさんで向かい合っていること自体に問題がある」と指摘した。
これに対し、パク・ミンス次官は「申し訳ない気持ちでいっぱいだ。この問題を早急に解決するため、最善を尽くす」と述べた。キム・テグ医協非常対策委員長も「今回の政府政策に対してどうしても声をあげる方法がほかになく、このようなことを一人ひとりが選ばざるを得なかった点は、本当に残念に思う。重症、救急疾患者や手術患者に被害が及ばないように教授や専任医が最善を尽くしている」と頭を下げた。さらに「医療界だけでなく、大韓民国のすべての方々が自分の夢のために情熱を持って働いていることを貶めようとしたわけではない。皆すべての分野で最善を尽くしていると思う」としたうえで、「いろいろと申し訳ないが、私たちが早く復帰できるよう政府が前向きに私たちの意見を聞いてほしい」と付け加えた。