大型病院の専攻医(インターン・レジデント)らは医学部の定員増員政策に反対し、20日から勤務を中断する方針とのことだ。大義名分のない集団行動に対して世論は冷淡であり、労働・市民団体は、医師団体を糾弾する「国民ろうそくデモ行動」を推進している。国民と政府、法の上に君臨しているという特権意識を捨て、患者を守る本来の場所に戻らなければならない。
ソウルの上級総合病院5カ所の専攻医約2700人は、予告したとおり、20日午前6時から集団休診に入る。政府の医学部増員政策の撤回を要求して辞表を提出した後、本格的な集団行動を始めるとのことだ。大韓専攻医協議会の会長が所属するセブランス病院の場合、19日から専攻医の一部が勤務を中断している。辞表提出と休診は、他の病院の専攻医に広がっており、余波は小さくない見通しだ。
政府は、専攻医の離脱による診療空白を最小化するため、公共病院の診療時間延長▽非対面診療の範囲拡大▽公衆保険医・軍医官など代替人材の配置の検討などの対策を出したが、患者と家族の不安は高まっている。当面は、応急に該当しない手術日程の延期で済んだとしても、長期化する場合、応急・重症患者の被害が続出する可能性があるためだ。少なくとも、2020年の専攻医の集団休診事態の初期には、応急室や集中治療室、透析室など患者の生命に直結する必須医療分野の人材は参加しなかった。今回はそうした最小限の配慮さえみられない。患者の生命と健康を守らなければならない医師たちが、政府の政策を中断させるために「病院を空ける」という無責任な態度を貫いているのだ。
専攻医はこれ以上、孤立を自ら招いてはならない。政府は19日、全国の研修病院221カ所の専攻医全員に診療維持命令を下した。違反行為が確認された場合、3年以下の懲役または3000万ウォン(約340万円)以下の罰金に処されうる。改正医療法により、医師免許を剥奪される範囲も広がった。市民社会は、医学部増員に賛成するろうそくデモを行うことを提案する一方、医師たちの診療中断を談合として公正取引委員会に告発するという計画まで提起している。さらに、医療界の一部からも、「医師たちの集団行動は名目が立たず、希少価値から生じる既得権を今後も維持するという行動」だとする自省の声が出ている。急速な高齢化とコロナ禍を経験し、医師の数を増やさなければならないという国民的な共感も増えている。医師たちにとっては、診療拒否をするときではなく、必須・公共医療陣の拡充のために、政府と膝を突き合わせなければならないときだ。