7日に放送された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の韓国放送(KBS)での対談では、夫人のキム・ゴンヒ女史のブランドバッグ授受に対する謝罪はなかった。昨年11月、YouTubeチャンネル「ソウルの声」の報道で物議を醸してから約2カ月たっての大統領自らの発言。尹大統領は「時計に隠しカメラを仕込めた政治工作」だとするこれまでの大統領室と与党の態度を繰り返した。尹大統領は、キム女史が贈り物を拒否できない状況だったという説明に重点を置いた。今回の立場表明によってキム女史に関する論議が完全に沈静化するのは難しいと思われる。
尹大統領は、この日午後10時から放映された「特別対談‐大統領室を訪ねる」で、アンカーのパク・ジャンボム氏が「(キム女史が)大統領夫人の身分であるにもかかわらず、どうしてこのようなことが起きたのか」と質問すると、「龍山(ヨンサン)の官邸に入る前(2022年9月)のことだ。瑞草洞(ソチョドン)のマンションの地下に私の妻の事務室(コバナコンテンツ)があったが、そこに検査機(セキュリティー検査台)を設置すると住民たちにとっても不便になるので、設置できなかった」として、警護・検査の手続きの不足を理由にした。さらに、「妻は中学生の時に父親を亡くし、(贈り物のバッグを与えたチェ・ジェヨン牧師は)父親と同郷で親交を語ってきた。大統領や大統領夫人はどこの誰に対しても冷淡に接するのは難しい」として「人情」に訴えた。
さらに尹大統領は、謝罪や遺憾の表明の代わりに「残念な点はある」とだけ述べた。「(チェ牧師が事務室に)たびたび来ることをきっぱり断れなかったことが問題だとすれば問題であり、残念なことだったと思う」。また、「私にもやはり、そういったときがある」として、「私であれば、もう少し断固として対応したはずだが、妻の立場としてはいろいろな状況のため断りにくかったのではないかと思えて、とにかく残念な点がある」とキム女史をかばった。最近の支持率低下の傾向のもとで「キム女史が自ら立場を表明して謝罪すべきだ」という国民世論が強まっている状況とはかけ離れた説明だ。これを意識したかのように、尹大統領は「国民の皆さんは私の口から詳しく説明することを望むかもしれないが、さらに出てくるであろう否定的な状況もある」と付け加えた。あわせて「今後はこうしたことが発生しないよう、もっと明確に、断固として線を引くときは線を引いて対応することが大事だ」と述べた。
これとは対照的に、尹大統領は「キム女史が政治工作の犠牲者だということに同意するか」という質問には、「選挙を目前にした時点で、(キム女史と会って)1年もたってからこのように情報拡散させること自体が政治工作」だと述べ、強硬な態度を示した。また、「今は官邸に移転したので、こうしたことがちゃんと管理されるだけでなく、国民の皆さんが誤解したり不安に思ったり心配することがないよう、そうした部分を明らかにしなければならないだろう」と述べた。「夫婦げんかをしたか」という質問には「まったくしなかった」と答えた。
尹大統領は、キム女史の動きの管理方法として議論されている第2付属室の設置については「秘書室で検討中」、特別監察官制については「国会で選定して送ること」だと述べ、原則的な回答を繰り返した。尹大統領は「(二つとも)こうしたことを予防するには特に役立たないだろう」として、否定的な認識も隠さなかった。「(特別監察官は)不正や問題があるときに事後に監察することであり、予防できるものではない。妻が突き放すことができずたびたび強引に訪問してくるのを適切に防げなければ、第2付属室があっても会わざるをえないだろう」ということだ。一方、尹大統領は、キム女史が法案推進を促し「キム・ゴンヒ法」と呼ばれた「犬の食用目的の飼育、処分および流通などの終息に関する特別法」が先月国会を通過したことに関しては「もう私たちが変えなければならない時代になったのではないかと思う」と述べた。「キム女史と他の懸案もよく議論するのか」という質問には、「妻とは比較的いろいろな話をする方」だと述べた。