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尹大統領とハン委員長、4年前の「告発教唆」疑惑の頃に17回通話…上層部の関与は

登録:2024-02-03 07:38 修正:2024-02-03 08:26
政治的中立を破った「尹錫悦」検察 
「告発教唆」検事への有罪判決で波紋広がる
「告発教唆」疑惑で裁判に付された大邱高等検察庁のソン・ジュンソン次長検事(検事長)が1月31日午前、ソウル瑞草区のソウル中央地裁で開かれた公職選挙法違反、公務上秘密漏洩などの容疑の一審宣告公判の法廷に向かっている/聯合ニュース

 韓国で2020年の総選挙の直前に検察が組織的に検察総長夫妻などのための告発状を作成し政界に渡したことを、裁判所が先月31日に認めたことによって、このような行為の潜在的な受恵者だった上層部の関与の有無を明らかにしなければならないという声が高まっている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が検察総長だった時代、検察が政治的中立を破ったことが明らかになった以上、少なくとも尹大統領の謝罪が必要だという主張も出ている。

 野党「共に民主党」のホン・イクピョ院内代表は1日、尹錫悦大統領と与党「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長の国民向け謝罪を求めた。ホン院内代表は同日午前に国会本庁で開かれた政策調整会議で、「この事件(告発教唆疑惑)が自分に対する政治工作だと主張する盗人猛々しい態度を示した末、『自分は知らないこと』だと言い逃れた尹錫悦大統領と国民の力のハン・ドンフン非常対策委員長、そして国民の力、これらの全員が国民の前で謝罪し、責任を取らなければならない」と述べた。パク・チュミン院内首席副代表は、「検察が私有化され、政治に介入し、選挙介入を行ったのだ。著しく綱紀が乱れた事件」だとしたうえで、「この事件に責任を負うべき人を必ず断罪しなければならない」と語った。

 「告発教唆」疑惑に関して、上層部に対する捜査は高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が引き受けた。公捜処は、尹錫悦大統領とハン・ドンフン委員長について、ソン・ジュンソン検事と共謀して職権乱用、権利行使妨害などの犯罪をおかしたとして立件するなど、上層部の介入を念頭に置いて捜査を行った。このような疑いにはそれなりの根拠があった。

 「尹錫悦検察総長懲戒決定文」と公捜処の不起訴通知書などによると、ハン委員長-ソン検事-クォン・スンジョン最高検察庁報道官(当時)が参加していたカカオトークのグループチャットと、ハン委員長とソン検事間のメッセージのやりとりは、告発教唆の1次告発状が渡される日を控えて急増した。告発状が渡された3日前の3月31日に93回、4月1日に66回、4月2日に138回などだ。 ハン委員長は告発状が渡される前日、告発教唆関連資料と推定される写真60枚をこのグループチャットに共有した。ハン委員長とソン検事がそれぞれ釜山(プサン)高等検察庁と最高検察庁という異なる機関で異なる業務をしていた時期だった。

 当時、尹錫悦検察総長とハン・ドンフン検事長間の通話回数も、4月1日に12回、2日に17回と非常に多かった。ハン・ドンス元最高検察庁監察部長は昨年10月、告発教唆の公判に証人として出席し、「4月3日に告発状が渡される直前、ソン検事長が(検察総長室の)付属室の実務官とメッセンジャーアプリでやりとりをしていた」とし、告発教唆と関連する内容が尹検察総長に報告された可能性があるという趣旨で主張した。当時検察総長だった尹錫悦大統領夫妻とハン・ドンフン委員長が告発状に名誉毀損の被害者と記されているという点も、上層部の関与があったのではないかという疑念を抱かせる。

 尹大統領が当時窮地に追い込まれており、状況を突破するために告発教唆をした蓋然性もあるという主張もあった。告発状が作成され渡された2020年初めは、チュ・ミエ法務部長官が任命された後「尹師団(尹大統領の側近)」の検事たちが左遷されるなど、最高検察庁内の尹大統領の掌握力が弱まった時期だった。尹大統領の最側近であるハン委員長が関与した「チャンネルA事件」疑惑がふくらみ、尹大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の「ドイツモーターズ株価操作疑惑」や義母のチェ・ウンスン氏の「偽銀行残高証明書作成」疑惑報道も相次いだ。

 だが、公捜処は尹大統領とハン委員長を対象に家宅捜索を行うどころか、呼出し調査すらせず、2022年5月に嫌疑なしの処分を下した。証拠不十分がその理由だった。

 再捜査が行われるまでは越えなければならない山が多い。公捜処内では、不訴追特権を持つ尹大統領や与党代表であるハン委員長を捜査することを負担に思う気流がある。ただし、ソン検事の一審の裁判部が告発状の作成に関与したと疑ったソン・サンウク検事とイム・ホンソク検事の場合、過去の公捜処の調査内容を再分析する方向で改めて捜査に乗り出す可能性もあるという意見もある。イム検事の証拠隠滅疑惑などについては、まだ公捜処の捜査が進められている状況だ。

 2021年9月、ソン検事などを公捜処に告発した「司法正義立て直し市民行動」のキム・ハンメ代表は、早ければ来週初めに尹大統領などを公捜処に告発する計画だ。キム代表は「裁判所が検察の組織的な動きを認めた」とし、「黒幕の究明など、検察の組織的な動きを明らかにするために再告発を決めた」と語った。

チョン・グァンジュン、カン・ジェグ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1126963.html韓国語原文入力:2024-02-02 18:21
訳H.J

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